『「数字で考える」は武器になる』
(中尾 隆一郎/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 「数字」に対する苦手意識やアレルギーを持っている方は少なくないが、ビジネスシーンにおいて数字に強いことには様々な利点がある。提案の説得力や分析の深みが増すのはもちろん、マネジメントや新規事業などを考える際にも計数感覚は必須となる。また、本人や組織の生産性向上を目指すにも、ROI(投資対効果)意識が役に立つ。

 そこで本書では、実際の仕事で使える数字の読み方、考え方をケーススタディでわかりやすく解説。生産性向上、儲けるセンスを高める、数字で人を動かすなど、様々な場面で使える実践的なテクニックを伝授する。しかも、それらは統計やファイナンス知識は不要で、四則演算(+/-/×/÷)だけで扱えるものだ。

 著者はリクルートで人気講座「数字の読み方、考え方」の社内講師を 10年以上務め、マネジャー、経営者としても豊富な経験を持つ人物。一読すれば、本書の内容は小手先のテクニックではなく、業種・業界を問わず一生使えるポータブルスキルだ。数字に苦手意識がある方、あるいは経営者感覚を身に付けたい方はぜひご一読いただきたい。

著者:中尾 隆一郎(Nakao Ryuichiro)
 株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)代表取締役社長。株式会社旅工房 取締役。1964年5月15日生まれ。大阪府摂津市出身。1987年大阪大学工学部卒業。89年同大学大学院修士課程修了。同年、株式会社リクルート入社。主に住宅、人材、IT領域を歩み、住宅領域の新規事業であるスーモカウンター推進室で室長を務めていた時は、同事業を6年間で売上を30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍に拡大させた。リクルートテクノロジーズで社長を務めていた時は、リクルートが掲げた「ITで勝つ」を、優秀なIT人材の大量採用、早期活躍、低離職により実現。
 リクルート住まいカンパニー執行役員、リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルートホールディングスHR研究機構企画統括室長、リクルートワークス研究所副所長などを務め、2018年3月までリクルートで29年間勤務。
 専門は、事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、中間管理職の育成、管理会計など。リクルート時代は、約11年間、リクルートグループの社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当、人気講座となる。良い組織づくりの勉強会(TTPS勉強会)主催。
 著書に『最高の結果を出すKPIマネジメント』(フォレスト出版)、『リクルート流仕事ができる人の原理原則』『リクルートが教える営業マン進化術(共著)』(ともに全日出版)、『転職できる営業マンには理由がある!』(共著・東洋経済新報社)などがある。Business Insider Japanにて毎月マネジメントをテーマに寄稿している。
はじめに
第1章 生産性を爆速させる数字力
第2章 数字の裏を読む
第3章 儲けるセンスを高める数字力
第4章 人を動かすリーダーの数字力
第5章 数字力を自在に操る7つのフレーム

要約ダイジェスト

生産性を爆速させる数字力

Speed is Power

 「仕事が速い」ことは人を感動させる。もし成果物のレベルが想定に達していなかったとしてもまだ修正する時間があるから問題ない。つまり「仕事が速い」というのは、周囲から「仕事ができる」と思われる、とても重要だけれど簡単な方法なのだ。

 私は、これを Speed is Power と呼んでいる。Speed is Powerは、①「同じ仕事を、より短い時間で実行する」、もしくは②「同じ時間で、より多くの仕事ができる」ということだ。生産性を表す ROI(Return on Investment)で説明すると、①は分母I(インベストメント=時間やお金)の値を小さくする。②は分子R(リターン=成果)の値を大きくするということだ。

 現状を数字で把握し、正しい方法で改善を行うことができれば、会社にとっては生産性の向上、そして従業員にとっては Speed is powerが実現できる。そのために必要な力が、①因数分解、②ROI思考、③仮説力の3つだ。

因数分解——扱いやすい大きさに分ける

 「納期を管理する」と「工数を管理する」、この違いを理解しているかどうかが、Speed is Powerを実現するための必要条件だ。「納期」とは、いわゆる「締切り」で、「工数」とは、「資料作成に4時間かかる」など、タスクにかかる「見積もり時間」のことだ。

 さらに実際の業務をイメージすると、

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