『事例でわかる 新・小売革命―中国発ニューリテールとは?』
(劉 潤 /著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 中国の小売市場は今、巨大IT企業であるアリババ、テンセントをはじめ、総合家電メーカーのシャオミ、EC事業者、ショッピングモール、零細小売事業者などが入り乱れて競争し、拡大を続けている。そこで EC(オンライン)とリアル店舗(オフライン)両者から注目を集めているのが、「ニューリテール」という概念だ。

 ニューリテールとは、小売を「人」と「物」をつなぐ「場所」と定義し、それぞれの効率を限界まで高めていく考え方だ。具体的には、オンライン・オフラインを問わない「売場効率革命」により「人」の効率を上げ、短絡経済(中間プロセスをカットする)により「物」の効率を上げ、「データエンパワーメント」により「場所」の効率を上げる。

 本書では、多数のニューリテールの最新事例を紹介し、図解もふんだんに用いて中国およびグローバルの小売ビジネストレンドを解説。小売・流通業界やメーカー、ITビジネスに携わる方は、多くのヒントが得られるはずだ。著者はハイアール、バイドゥなど多くの大手企業で戦略顧問を務める中国の著名 ITビジネスコンサルタント。

著者:劉 潤(リュウ・ルン/LIU RUN)
 コンサルティング会社「潤米咨詢」代表。中国の教養アプリ「得到(デァダオ)」内のビジネスコンテンツで26万以上(2018年9月現在)のユーザー数を抱える著名 ITビジネスコンサルタント。前マイクロソフト戦略協力ディレクターで、現在、ハイアール、バイドゥ、恒基(不動産デベロッパー)、中遠(海運会社)など多くの大手企業で戦略顧問を務める。

訳者:配島 亜希子(はいじま あきこ)
 2005年より中国へ移住。日本人向け現地情報誌の編集、中小企業の中国市場進出をサポートする日本政府事業などに従事した後、株式会社PLANT PLANを設立。日中文化経済交流のサポートなどを行う傍ら、翻訳や執筆を手がける。新華社通信を始めとする中国の最新ニュースや貿易、金融、知的財産権といった分野での翻訳を手がけ、翻訳書籍には『シャオミのすべて』(中信出版)などがある。上海在住、二児の母。

第1章 ビジネス新時代を勝ち抜くニューリテールの本質
第2章 オンラインとオフラインを融合させるニューリテール
第3章 売場効率の限界を突破するニューリテール
第4章 中間の不要なプロセスをカットして効率を上げるニューリテール
第5章 ニューリテールは今、この瞬間も進化している

要約ダイジェスト

eコマースの重大危機から始まったリテール革命

 2016年 10月に、アリババの創業者・ジャック・マー(馬雲)とシャオミの創業者・レイ・ジュン(雷軍)の両名がニューリテールの概念を提唱した。ジャック・マーはこう言った。「今後 10年、20年で“eコマース”は消滅し、“ニューリテール”の時代となる。オンラインとオフライン、物流が結びつくことで、真のニューリテールが誕生する」。

 彼のひと言で、「ニューリテール」という概念が正式に誕生し、瞬く間に拡散した。ニューリテールがそれほどまでに関心を引くのは、これまで勢いよく発展してきたeコマースが、かつてない厳しい試練に遭遇しているからだ。

 ユーザー数の増加スピードが降下しているにもかかわらず、eコマース数は急速に増加している。これにより、eコマースが潜在的な顧客を獲得するコスト、いわゆる「トラフィック獲得コスト」(集客コスト)はますます高くなり、インターネットビジネスは難局を迎えた。

 一体どこへ行けば新しい「トラフィック」を低価格で獲得できるのか?この時、依然として従来の小売が 80%~90%のシェアを占めるオフライン市場が、おのずとeコマースの進むべき目的地となった。では、オフラインに回帰することがニューリテールなのか?無人スーパーがニューリテールの旗印を掲げるのか?結局、ニューリテールとは一体何なのだろうか?

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