『シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」』
(ネイト・シルバー/著)

 

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次(主要)

「ビッグデータ」という言葉が世間を賑わわせて久しいが、統計と予測の専門家である著者ネイト・シルバーは、「数字は何も語らない、語るのは私たちだ」とデータ礼賛の風潮に警鐘を鳴らす。なぜなら、データが増えても、ノイズ(雑音)とシグナル(有益な信号)を見極めるのはあくまで人間だからである。そして人間には予測の際に陥りやすい、いくつかの傾向があるという。

そこで著者はさまざまな事例から、数字やデータに対する私たちの誤った姿勢を明らかにする。本書で取り上げられる事例はリーマン・ショックなどの経済予測から、ポーカーの勝ち方(著者はオンライン・ポーカーでセミプロとして活動していた時期もあるという)、地震・天候予測、政治、スポーツ、伝染病、テロや戦争まで多岐に渡る。

著者はこれらの事例を通じて、「固定観念を排して正確に理解し、そして結果からフィードバックを受け予測を更新し続ける」というベイズ(18世紀の数学者)的思考法の実践を薦めている。データ分析や予測などの業務に携わっている方だけでなく、この情報化社会におかれたビジネスパーソンとって必須といえる姿勢を当代一流と目される統計学者がわかりやすく教えてくれる良書である。


著者:ネイト・シルバー(Nate Silver)
1978年生まれ、ニューヨーク・ブルックリン在住の統計専門家。『マネー・ボール』で有名になった野球データ分析会社ベースボール・プロスペクタスの予測モデル「PECOTA」の開発者。2008年の米大統領選挙の結果を予測し、ほぼ完ぺきに(50州のうち49州)的中させたことで一躍脚光を浴びた(2012年の大統領選は50州すべて的中)。
タイム誌の「世界でもっとも影響力のある100人」(2009年)にも選出。政治予測ブログ「FiveThirtyEight.com」を主宰し、政治、経済、スポーツなど幅広い分野の話題について統計学の視点から独自の見解を提示し、世界的に注目を集めている。

翻訳:川添 節子(カワゾエ セツコ)
翻訳家。慶應義塾大学法学部卒。訳書に『専門家の予測はサルにも劣る(ダン・ガードナー著、飛鳥新社)、『FBIトレーナーが教える 相手の嘘を99%見抜く方法』(ジャニーン・ドライヴァー他著、宝島社)など
出版社: 日経BP社 (2013/11/28)


序章 情報が増えれば、問題も増える
第1章 壊滅的な予測の失敗
第2章 キツネとハリネズミ――予測が当たるのはどっち?
第3章 マネーボールは何を語ったか?
第4章 天気予報――予測がうまく機能している数少ない分野
第5章 巨大地震のシグナルを探す
第6章 経済予測はなぜ当たらないのか?
第7章 インフルエンザと予測モデル
第8章 間違いは減っていく――ギャンブルとベイズ統計
第9章 機械との闘い
第10章 ポーカー・バブル
第11章 打ち負かすことができないなら――金融市場と予測可能性
第12章 地球温暖化をめぐる「懐疑心」
第13章 見えない敵――テロリズムの統計学
結論 予測の精度はもう少し高められる

 
要約ダイジェスト

情報が増えれば問題も増える

「人間は、ものごとを自分の好きなように解釈して、本来の意味を見失うことがある」これは大量の情報から答えを探しだそうとしている人なら覚えておくべきアドバイスだ。

シグナル(信号)とノイズ(雑音)を区別するのは難しい。データが語るストーリーは、自分が聞きたいと思っているものになることが多く、たいていの場合ハッピーエンドである。「ビッグデータ」は時代の先端を行く言葉だが、数字自体は何も語らない。語るのは私たちである。

IBMの試算では、1日250京バイトずつ情報量が増えているという。しかし有益な情報は同じようには増えず、そのほとんどはノイズである。つまり、証明しなければならない仮説と使用するデータは増える一方だが、客観的な真実はほぼ一定なのだ。

人間は完全に客観的な予測をすることが

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