- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者はライフネット生命の創業者で読書家としても知られ、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)学長を務める出口治明氏。本書では、「もっと遊びたい」「もっとラクをしたい」という気持ちを成長の原動力にしてきたという著者が、効率よく仕事をするために必要な「知的生産性を高める」方法を余すところなく紹介する。
具体的には、新しいアイデアを生む思考術、インプット・アウトプットの方法、さらにはマネジメントやコミュニケーション技術についても解説。大学でも、限られた期間で学生を育てるため、民間企業同様に生産性向上は急務だという。本書の方法論はどのような業界でも応用可能だ。仕事の仕方や労働時間を少しでも改善したい方は必読の一冊。
立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。1972年、日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命に社名変更。2012年上場。2018年1月より現職。著書多数。
第2章 新しいアイデアを生み出す「考える技術」
第3章 最小の労力で最大の成果を上げる「インプットとアウトプットの技術」
第4章 チームの力を引き出す「マネジメントの技術」
第5章 明るく楽しい職場をつくる「コミュニケーションの技術」
要約ダイジェスト
「メシ・風呂・寝る」から、「人・本・旅」に切り替える
日本の戦後の成長モデルは、工場(製造業)中心に考えられたものだ。しかし現在、日本のGDPの4分の3以上は、サービス産業を主力とする第3次産業が占めている。もはや工場モデルが過去のものになった以上、社会のシステムも、働き方も、変わらなければならない。
サービス産業を中心とする社会においては、労働時間ではなく、「成果」とそれをもたらす「アイデア」こそが生命線になる。「長時間労働を続けると、生産性が落ちる」というデータは山のように存在するし、医学的に見て、頭を使う仕事は長時間労働ができない。
そもそも長時間労働は、物理的な製品づくりを行う場合の労働手法だ。工場モデルの時代は、生産ラインの前で手先を動かす単純作業がメインなので、脳をそれほど酷使しないから、長時間労働をこなすことができた。
しかし、サービス産業の時代は、脳をフル回転させて、斬新な発想やアイデアを生み出す必要がある。朝8時から夜10時まで働いていては、脳が疲れてしまう。アイデアやサービスといった無形のものを生み出すには、さまざまな経験を積み、発想力や柔軟性を養うことだ。
そのためには、生活の基本を「メシ・風呂・寝る」から、「人・本・旅」に切り替えることだ。仕事を早く終えて、人に会ったり、本を読んだり、ときには旅したりと、脳に刺激を与えないと、画期的なアイデアは生まれないのだ。
知的生産性を上げる5つの視点
サービス産業が経済を主導する時代、企業の競争力の根源は、「人と違うことを考える能力」や「新しいアイデアを生み出す力」に求められる。その際、漫然と考えるのではなく、次の5つの観点から物事を考えてみることが有効となる。
①無限大ではなく、「
「時間もスタッフも無限大であり、努力をすればするだけ、いい成果が出る」という考え方は、根拠なき精神論の典型だ。「無限大」という考え方を捨てて、「無減代」にあらためることが大切である。
「無」は、仕事をなくすこと。「減」は、仕事を減らすこと。「代」は、使い回したり、代用すること。「その仕事はなくせないか」「なくせないなら、減らせないか」「他の何かで代用(使い回し)できないか?」などと考えて仕事をすると、