- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、日本に昔からあった醤油の貸し借りに代表されるシェア文化の歴史から、世界で広がる様々なシェアサービス、シェアを政策として推進する国内外のシェアリングシティなど、最新のシェアリングエコノミー事情を解説。さらにその未来の展望や今後個人が備えておくべき考え方についても言及するシェアリングエコノミーの入門書だ。
著者は自身も都内シェアハウスに住み、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師、一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長を務める人物。働き方、住まい、旅、子育て、学び、少子高齢化や過疎といった社会課題まで、シェアの思想がブレイクスルーのきっかけとなる領域は多い。これらの領域に興味関心がある方はぜひご一読いただきたい。
内閣官房シェアリングエコノミー伝道師。一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長。1989年生まれ。都内シェアハウス在住、実家もシェアハウスを経営。「シェア(共有)」の概念に親しみながら育つ。2012年国際基督教大学(ICU)卒。新卒でリクルート入社、その後クラウドワークス経営企画室を経て現職。 「シェアガール」の肩書でシェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。
総務省地域情報化アドバイザー、厚生労働省「シェアリングエコノミーが雇用・労働に与える影響に関する研究会」構成委員、経済産業省「シェアリングエコノミーにおける経済活動の統計調査による把握に関する研究会」委員なども務める。2018年米国メディア「Shareable」にて世界のスーパーシェアラー日本代表に選出。ほかNewsPicks「WEEKLY OCHIAI」レギュラーMCを務めるなど、幅広く活動。
第1章 新しい時代
第2章 新しい価値観
第3章 新しい生き方
第4章 つながりが社会を救う
第5章 シェアするマインド
終 章 シェアの未来
シェアライフを今すぐ始めたい人へ
要約ダイジェスト
シェアする社会の登場
誰かが持っているモノ、場所、時間、経験や知識まで、あらゆるものをシェアする社会が、世界中で当たり前になりつつある。一生懸命働いて稼いだお金で、生活におけるすべてのモノを消費しつづけなくても、誰かとシェアすることで所有したり、利用することができるようになり、私たちの毎日における消費スタイルが大きく変わろうとしているのだ。
そして今日、この「シェア」という考えそのものが、消費スタイルの変化だけでなく、経済のあり方、社会のあり方、そして私たちの生き方そのものを変えようとしている。シェアにはさまざまな意味があるが、本書では「シェア」=「分かち合うこと」と定義する。
それは、私的所有や経済的利益を追求する社会(資本主義社会)が限界を迎え、お金の価値や社会的ステータスなど、これまでの物差しが揺らぐ時代になってきた中で、「個人と個人が共感や信頼を物差しとして、あらゆるものをシェアしながら“つながり”を前提に生きていく」という新しい生き方だ。そして、「シェアすることで、分断された世の中をもう一度つなぎ直す」新しい社会の希望なのだ。
シェアすることで生まれる最も大きな価値は「つながり」だ。何かあったら手を差し伸べてくれる人が思い浮かぶ、明日もし地震が起こってもお米を届けてくれる人や、泊まらせてくれる家や人のつながりがある、信頼できて気軽に頼れるコミュニティがある…、そんなつながりを増やしていくことが、これからの時代を生きる上での重要な資産になる。
そして、その「つながりをどれだけ貯められるか」が、これからの新たな豊かさの指標になるはずだ。「つながりが人の幸福や安心に直結する」という事実も、すでにさまざまな調査・研究で明らかになっており、例えばアメリカのバークマンとサイムの研究では、つながりの関係が少ない人は、多い人に比べ、死亡率が2倍にもなることがわかっている。
これまで私たちのつながりは、所属する学校・会社・町内会など「所属場所」で形成されることが基本だった。しかしシェアによって、