『ニュースの“なぜ?”は日本史に学べ』
(伊藤賀一/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 新聞・テレビ・インターネットなどで日々報道される「ニュース」。忙しさなどを理由に、日本の今後に大きく影響するテーマについてもつい読み流してしまうことも多い。だが、その出来事が「なぜ」起きたのかなど、歴史的背景を含めて見てみれば、より深い理解とともに、その先行きを見通すこともできるようになる。

 そこで本書では、日本人が“わかったようでわからない”事実を「76の疑問」に落とし込み、歴史の流れとともに解説。「今の日本経済に停滞感を感じるのはなぜか?」「日本に戦争の危機は訪れるか?」「なぜ日本人は『内向き』と言われるのか?」など、曖昧なまま見過ごしてしまいそうな問いを投げかけ、読者の疑問を解消してくれる一冊だ。

 著者は日本史を専門とするプロ講師。社会科全般の知識から、日本が抱える諸問題を科目横断的に解説することを得意とし、オンライン予備校「スタディサプリ」の「日本史・倫理・政治経済・現代社会・中学地理・中学歴史・中学公民」の7科目を担当。現代社会をより広い視野からとらえたい方はぜひご一読いただきたい。

著者:伊藤賀一(Ito Gaichi)
 1972年9月23日京都生まれ。スタディサプリ日本史講師。リクルート運営のオンライン予備校『スタディサプリ』で日本史・倫理・政治経済・現代社会・中学地理・中学歴史・中学公民の7科目を担当する「日本一生徒数の多い社会講師」。43歳で一般受験し、現在、早稲田大学教育学部生涯教育学専修3年に在学中。東進ハイスクール最年少講師として30歳まで出講後、教壇を一旦離れる。経験職種は20以上という、多彩な経験をベースに圧倒的話術で展開される講義は、爆笑で「教室が揺れる」と形容される。
 著書・監修書は、文庫『世界一おもしろい日本史の授業』シリーズ、『英語で読む世界一おもしろい日本史の授業』『ゴロ合わせ朗読CD付日本史まるごと年代暗記180』『カゲロウデイズで中学歴史が面白いほどわかる本』(以上 KADOKAWA)、『きめる!センター倫理』(学研プラス)、『伊藤賀一の速攻! センター現代社会』(文英堂)など累計25万部。旺文社『全国大学入試問題正解 日本史』解答者でもある。
第1章 日本経済は復活するか
第2章 日本の政治と天皇制
第3章 日本の軍事・外交史
第4章 深刻化する「少子高齢化」と「格差社会化」
第5章 歴史でたどる日本人的「空気」と「気質」

要約ダイジェスト

なぜ江戸は世界一の都市になれたか?

 日本史上最も経済力があった時代はいつか。その答えは、昭和でも平成でもなく、江戸時代だ。もちろん経済規模では現代に及ばないが、少なくとも江戸時代前期、幕府は世界的に見てもかなりの経済力を誇り、実際、100万を超える江戸の人口は、ロンドンやパリをしのいで当時の世界一だったのだ。

 江戸幕府の圧倒的な経済力は、①幕領、②主要都市・街道、③主要鉱山、④貨幣鋳造権、⑤貿易の独占・管理、という5つの要素で説明できる。

 ①幕領とは、幕府の直轄領のこと。江戸時代前期、全国約 3,000万石のうち、幕領は 400万石。大名で一番多いのが「加賀 100万石」で知られる前田家だから圧倒的な規模だ。②主要都市・街道を押さえていたのも幕府の強みだった。

 ③金・銀・銅など、国内外の取引に使える金属が手に入る主要鉱山も幕府の重要ツールで、幕府は、金属の使いみちとして④貨幣鋳造権も有していた。鎖国政策によって⑤貿易の独占・管理ができていたのも、経済力を語るうえで重要な意味をもつ。

 これら5つの要素を握っていた幕府は、圧倒的な経済力を背景に、軍事力も強大となった。将軍直属の家臣である旗本・御家人の暮らしは、コメやカネで維持できるからだ。軍事力はさらに政権基盤を盤石にし、経済発展の土台となるという好循環が生まれていたのだ。

今の日本経済に停滞感を感じるのはなぜか?

 前述の5つの要素を、現代に当てはめてみると、経済的な日本の立ち位置が見えてくる。まず領土(①)は広くもないが狭いわけでもない。都市・街道(②)では、東京、京都、大阪、名古屋など「点」としての都市パワーは十分だが、国際空港・国際港などをつなぐ「線」としての交通ルートは、アジアのハブ空港・港湾都市のポジションは取れていない。

 地下資源(③)に関しては、種類は多いが量は少ない。貨幣鋳造権(④)を現代の経済に置き換えれば「円のパワー」だが、これに関しては十分ある。貿易の独占・管理(⑤)は、WTO(世界貿易機関)の方針で「自由・無差別・多角」化が進み、現実的に管理不可能だ。

 このように、江戸時代と比べると今の日本は、ダメでもないけれど大して強い国でもないのである。それに対して、アメリカ、中国、ロシアという「ビッグ3」は、国土が広くて開発の余地も残っており、

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