- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者は気鋭の起業家で、映画1本に 100個以上のメモをとるほどの「メモ魔」である前田裕二氏。自ら立ち上げた仮想ライブ空間「SHOWROOM」も、膨大なメモから生まれたといい、その具体的な思考プロセスも紹介されている。著者のメモ術は「ファクト→抽象化→転用」の3ステップから成り、それを活用することで日常のすべてをアイデアに変えることができるという。
メモを取ることの重要性は、ビジネスパーソンであれば誰もが認識しているはずだ。だが一読すれば、それをどこまで徹底できるかが重要なのだと気づかされる。若手からベテランまで本書を通してメモの具体的な手法だけでなく、「メモがあなたの人生のコンパスを作る」「メモとは生き方そのもの」と語る著者の熱量をぜひ感じていただきたい。
SHOWROOM株式会社 代表取締役社長。1987年東京生まれ。2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、外資系投資銀行に入行。11年からニューヨークに移り、北米の機関投資家を対象とするエクイティセールス業務に従事。数千億~兆円規模の資金を運用するファンドに対してアドバイザリーを行う。13年、DeNAに入社。仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げる。15年に当該事業をスピンオフ、SHOWROOM株式会社を設立。同年8月末にソニー・ミュージックエンタテインメントからの出資を受け、合併会社化。著書『人生の勝算』はAmazonベストセラー1位を獲得。
第二章 メモで思考を深める
第三章 メモで自分を知る
第四章 メモで夢をかなえる
第五章 メモは生き方である
終 章 ペンをとれ。メモをしろ。そして人生を、世界を変えよう。
要約ダイジェスト
メモで日常をアイデアに変える
一度きりの人生において「こんなことを実現したい!」「こうなったらいい!」ということを、ただ心の中で思っているだけでは、ほとんどかなわない。いつの間にか気持ちが薄れてしまったり、跡形もなく消えてしまったり…。我々が持つ多くの願望は、その程度のものだ。
それを防ぐのが、メモである。メモやノートは、記憶をさせる「第2の脳」。いわば「外付けハードディスク」として、あとで検索できるように書いている。気づいたら何でもメモをしておくという意識が、創造力を高めるための第一歩だ。
メモには、2種類ある。1つは「記録のためのメモ」で、一般的にメモと言われて多くの方が想起するような、情報や事実をそのまま切り取って伝えたり、保存しておくためのメモだ。しかし、メモの底力は完全に別のところにあると僕は強調したい。
それが、2つ目の「知的生産のためのメモ」だ。メモは、情報伝達ではなく、知的生産に使ってこそ本領が発揮されるのだ。具体的には、メモによって以下の5つのスキルが鍛えられる。
①アイデアを生み出せるようになる(知的生産性の向上)
②情報を「素通り」しなくなる(情報獲得の伝導率向上)
③相手の「より深い話」を聞き出せる(傾聴能力の向上)
④話の骨組みがわかるようになる(構造化能力の向上)
⑤曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる(言語化能力の向上)
人の成長という観点において、本当にメモは偉大だ。メモをとることで、まず何よりも、①知的生産性が増す。余分な情報はストックしておいて、自分の頭を有益な情報を生み出すことのために使うことができる。
次に、情報を素通りしなくなるので、日々見聞きするすべての情報を分母にしたときに、そこからどれだけの情報をものにするかという、②情報獲得の伝導率が増す。そして、相手から1つでも多くの有益な情報を引き出すための③傾聴能力の向上にもつながる。
さらに、メモによって頭の整理ができる。その結果、④構造化能力や、ロジックの力を飛躍的に伸ばすことになる。最後に、メモは思考を深める機会を提供するので、言葉を紡ぐ力、すなわち⑤言語化能力が引き上げられる。メモは、僕らを全く見たことのない世界に連れて行ってくれる可能性さえ秘めた、魔法のようなアクションなのだ。
メモで思考を深める
僕のメモ術のエッセンスは、シンプルに3点ある。①インプットした「ファクト」をもとに、②気づきを応用可能な粒度に「抽象化」し、③自らのアクションに「転用」する。このうち「抽象化」がメモ術の根幹であるが、もっと言えば、人間に与えられた最も重要な思考機能であり、最大の武器であると断言できる。
抽象化には3類型ある。メモをとる上では、