『鎌倉資本主義』
(柳澤大輔/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 “面白法人”を掲げる上場企業「カヤック」をご存じだろうか。創業以来鎌倉に本社を置き、アプリや Web制作などを主力にするユニークな IT企業だが、近年では鎌倉を拠点とする複数の企業有志で地域団体「カマコン」を立ち上げるなど、地域活性化にも取り組んでいる。本書はそんなカヤックが提唱する“鎌倉資本主義”を現在進行形で伝える一冊だ。

 鎌倉資本主義とは、従来型資本主義のひずみや限界を踏まえ、地域経済資本(財源や生産性)、地域社会資本(人のつながり)、地域環境資本(自然や文化)の3軸をバランスよく発展させようとするものだ。ここから「まちの保育園」「まちの社員食堂」といったユニークな取り組みや独自の地域経済通貨が生まれつつある。

 著者はカヤック創業者で現代表取締役 CEOの柳澤大輔氏。“鎌倉”と銘打ってはいるが、こうした地域資本主義は鎌倉のみならず、どの地域でも実現可能なものだ。実際、2013年に始まった「カマコン」は、それを雛形として同様の取り組みが全国に広がっている。働き方改革や地域創生に興味関心がある方は、多くのヒントが得られるはずだ。

著者:柳澤 大輔(Yanasawa Daisuke)
 面白法人カヤック代表取締役CEO。1974年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人と面白法人カヤックを設立。2014年に東証マザーズに上場。鎌倉に本社を構え、ゲームアプリ、キャンペーンアプリ、ウェブサイトなど、オリジナリティのあるコンテンツを数多く発信してきた。ユニークな人事制度、斬新なワークスタイルを導入し、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。
 2013年、鎌倉に拠点を置くベンチャー企業の経営者とともに地域団体「カマコン」を立ち上げ、地域コミュニティの活性化に「ジブンゴト」として取り組むための場を支援している。2017年10月に建長寺で「鎌倉資本主義を考える日」を開催。地域に根ざした新しい経済活動のモデルづくりに「ライフワーク」として取り組んでいる。
はじめに
1 資本主義が面白くなくなった?
2 何をするか?誰とするか?どこでするか?
3 なぜ人はカマコンに夢中になるのか?
4 鎌倉資本主義をかたちにすると?
5 地域資本主義はどこに行くのか?
6 テクノロジーで何ができるか?
おわりに
付録

要約ダイジェスト

日本中が東京にならなくてもいい

 僕たちは面白法人と名乗り、面白い社会をつくっていきたいと考えている。面白いとは、まず「自分たちが楽しんでいるかどうか」、そしてやっていることに「オリジナリティ」や「個」があることだ。そのためには、いろんな人がいなくてはダメだから、カヤックは「面白さ」を「多様性」と考えている。

 地方都市にいくと“リトル東京”のようなところが少なくない。東京はたしかにすばらしい都市だが、日本中が東京のようになったら、ちっとも面白くない。誰もが東京を目指すのではなく、地域がそれぞれの個性を強みとして繁栄していく地方創生は面白い。

 東京一極集中だけではなく、地域での生活や仕事を多様化していくこと。そんな取り組みのなかに、従来の資本主義が直面する課題を解決するヒントがあるのではないか。そう思うきっかけとなったのは、「カマコン」という地域団体での活動だった。

 「カマコン」は、5年前にカヤックをはじめ鎌倉に拠点を置くベンチャー企業の経営者が、鎌倉をもっと元気にすることを目的に立ち上げ、現在メンバーは 150人近く、毎月1回鎌倉で定例会を開いている。定例会では、有志がプロジェクトを持ち寄ってプレゼンし、全員でブレインストーミングを行って、どうしたらそれが実現できるか議論する。

 このカマコンから、さまざまなプロジェクトが生まれた。「まちの社員食堂」、地元のお寺でミツバチを飼育して採れた鎌倉産のハチミツの商品化、地元の市議会選挙に投票に行くと、帰りに人力車に乗れるキャンペーン、地元の風景の今昔を比べられるアプリなど、どれも鎌倉という土地と密接に結びついたものだ。

 僕自身も含めて、カマコンに参加している人は「楽しい!」と口を揃えて言う。カマコンを通じて住んでいる地域の課題を「ジブンゴト(自分ごと)」化すると面白くなってきて、「面白い」には人を動かす力があるのだ。この経験から、人の幸せ度を上げていくためには、地域コミュニティにヒントがあると思うようになった。

 それでたどり着いた1つのコンセプトが、地域を中心とした新しい資本主義のかたち、「鎌倉資本主義」だ。2017年 10月、「鎌倉資本主義を考える日」というイベントを開催し、そこでの議論から見えてきたものが「地域資本」という考え方である。

 僕たちが考える「地域資本」は、地域経済資本(財源や生産性)、地域社会資本(人のつながり)、地域環境資本(自然や文化)という3つの資本で構成されている。この3つの資本をバランスよく増やしていくことが人の幸せにつながる。そのために企業、

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