『そろそろはじめる親のこと』
(大澤 尚宏/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 現在、日本では年間約 10万人が「介護離職」で職場を離れている。離職すれば収入は激減するうえに、復職できる割合も高くないという。超高齢化社会を目前に、誰にとっても他人事ではない問題だが、特に働き盛りで、親の介護問題をじっくり考えているという人は少ないだろう。本書はそうした人が「親のこと」を考えるきっかけとなる一冊だ。

 著者が強調するのは、親が倒れてからでは遅い、つまり「備えをする」ことの重要性。本書では、介護保険や企業の介護制度、補聴器や見守り、老人ホームなどのサービス、介護を踏まえた老後のマネープランなど、どこから手をつけるべきかわかりづらい「親と老後」の知識と考え方について偏りなく解説されている。

 著者は自身も高齢期を迎えた親を持ち、高齢化が進む社会の課題解決メディアとして、信頼できる情報を発信する「オヤノコト.マガジン」や「オヤノコト.net」を運営。40~50代の方はもちろん、転ばぬ先の杖として若手ビジネスパーソンにもぜひご一読いただきたい。「親のこと」を考えることは、自分自身の将来を考えることでもあるのだ。

著者:大澤 尚宏(Osawa Takahiro)
 「オヤノコト・マガジン」編集長。株式会社オヤノコトネット代表取締役。大学卒業後、株式会社リクルートを経て広告会社を設立し、1995年に我が国初のバリアフリー生活情報誌『WE’LL(ウィル)』を創刊。2001年同誌編集長を退き、子どものためのバリアフリー情報誌『アイムファイン』を創刊。この間、国土交通省や経済産業省、宮城国体などの委員等を歴任、東京モーターショーのプロデュースなども手掛ける。
 2008年、高齢化の急速な進展による社会課題解決事業として「そろそろ親のこと…」をキーワードに「オヤノコト・エキスポ」(後援:経産省、厚労省ほか)を立ち上げ、2009年に株式会社オヤノコトネット設立、「オヤノコト.マガジン」の企画・発行や自社 WEBサイト「オヤノコト.net」(https://www.oyanokoto.net/)の運営、介護離職問題解決のためのコンサルティングや研修をはじめ、企業のマーケティング支援を中心に多角的に活動。
第1章 親をめぐる世の中の動き
第2章 親をめぐる制度
第3章 親の健康
第4章 親の暮らし
第5章 お金のこと
第6章 いいモノ
第7章 つながる

要約ダイジェスト

親が 70歳過ぎたら「健康寿命」を考えよう

 「介護離職ゼロ」——2015年秋に安倍晋三首相が「アベノミクス新3本の矢」として打ち出したテーマだ。宣言から既に3年が経過したが、今でも介護離職は年間 10万人を超えており、今後も増え続けると予測されている。

 ここで知っておきたいのが「健康寿命」だ。WHO(世界保健機関)が提唱した概念で、「健康上問題はなく自立した日常生活を送れる状態」のこと。日本人の平均寿命は男性 81.09歳、女性 87.26歳だが、健康寿命はそれぞれ 72.14歳、74.79歳だ。平均寿命から健康寿命をマイナスした期間が、何らかの介護が必要な期間ということになる。

 そこから逆算すると、団塊ジュニアが親の介護を始めるのは 2020年ごろだとわかる。しかし高齢期を迎えた親をもつ 40~50代は仕事も家庭も忙しく、帰省するたびに老いていく親をみて心配になる人は多いが、ほとんどの人が具体的な行動は何もしていない。

 だが、親の介護は突然やってくる。元気だった親が突然、要介護状態になることは珍しくない。できれば親が 70歳、遅くとも 75歳を過ぎたら、健康管理や生活環境を見直し、健康寿命を延ばすことを親子で考え、実践しておくべきだろう。

親が元気なうちから「介護保険」の情報収集を

 仕事柄、ビジネスで高齢者向け商品などに携わっている 40~50代と接することが多いが、そういう人たちですら「介護保険」については「1割から2割負担で介護サービスが受けられる(2018年8月より収入に応じて3割負担)」程度の知識しかないことに驚かされる。

 故郷の親の身体的な機能低下などが不安になり、要介護認定の申請をしようと思っても、どこに相談していいのか思い浮かばない人も多いだろう。例えば、親の暮らす地域の高齢福祉課などに相談に行こうにも、対応は平日午前9時から午後5時で、相談するにはわざわざ会社を休まなければならない。

 そこで利用したいのが「地域包括支援センター」だ。「地域の高齢者の総合相談窓口」という位置付けで、現在、全国の自治体に約 4,600カ所設置されている。主な業務は、地域高齢者や家族の相談をワンストップで受け、必要なサービスにつなげること。何かあった時のために覚えておくといいだろう。

 もちろん、政府も手をこまねいているわけではなく、2017年1月には育児・介護休業法が改正された。例えば、

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