『0秒経営―組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方』
(星崎尚彦/著)

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 近年の「メガネスーパー」の再生劇をご存じだろうか。メガネやコンタクトレンズの販売でピーク時には 540店舗、売上高 380億円を誇ったメガネスーパーは、JINSや Zoffなど低価格路線の新興 SPA(製造小売)メーカーに押され、8期連続赤字、倒産寸前まで追い込まれていた。そこから驚異的V字回復を成し遂げたのが本書の著者 星崎尚彦氏だ。

 著者は超高速PDCAを回し、組織の機動力を高める「0秒経営」を目指して企業再生を開始。それは現場から愚直に社員の意識改革を行う泥臭いものであった。本書では、店舗の再生、「アクション会議」など社内コミュニケーションの改善、ビジネスモデル変革などで、現場と経営陣の極限までの一体化を成し遂げた施策が具体的に描かれている。

 著者は三井物産を経てスイス IMDでMBAを取得、ファッション業界で「フラー・ジャコー」「ブルーノマリ」「クレッジ」「バートン」などの経営再建を行い、2013年よりメガネスーパーの再建を託されたプロ経営者。大企業から中小企業、チームビルディングにまで活かせる、机上の空論ではない実践的ノウハウとしてぜひご一読いただきたい。

著者:星崎 尚彦(Hoshizaki Naohiko)
 1966年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、三井物産(株)に入社。主に繊維事業、ファッション事業に携わった後、スイスのビジネススクールIMDへ留学。MBA取得後の2000年、スイスの宝飾メーカー「フラー・ジャコー」日本法人の経営者に就任、短期間で同社業績の飛躍的向上に成功。その後、婦人靴で名高いイタリアの皮革製品メーカー「ブルーノマリ」や、米国のスノーボード用品ブランド「バートン」で日本法人の経営者を務め、2012年にアドバンテッジパートナーズからの要請により、アパレルメーカー「クレッジ」の経営再建を担い、1年半でV字回復を達成。
 2013年6月、メガネスーパーの再建を任され、2016年に同社9年ぶりの黒字化を果たす。2017年11月には株式会社ビジョナリーホールディングスの代表取締役社長に就任。アイケアの啓発・普及を旗印に、先進アイケアサービス・店舗の拡大や積極的なM&Aといった成長戦略を加速させ、2018年には3期連続の黒字を実現。
第1章 「0秒経営」基本その1 業界知識がなくても経済合理性は追求できる
第2章 「0秒経営」基本その2 まやかしの忙しさと決別せよ(とくに赤字企業!)
第3章 実践「0秒経営」その1 すべての仕事は「YES」から始めよ
第4章 実践「0秒経営」その2 業界と真逆に走れ
第5章 実践「0秒経営」その3 1秒悩んで、立ち上がれ

要約ダイジェスト

「普通の経営」では絶対勝てない

 私は現場が好きだ。現場にいれば否応なく、さまざまな課題を発見できる。よく「社長は現場の声を聞くべきだ」といわれるが、私は「現場そのもの」だ。この環境に身を置けば、気がつくことがいくらでも出てくる。オフィスになど引っ込んでいられない。

 それをいちいち指摘するから、社員たちにとっては相当うるさい社長だろう。「早くあのお客さまにつけ!」「顧客情報を打ち込む画面の遷移が遅い!」「なんでもう1台、レジを増やさないんだ?」、指摘していることは一つひとつマイクロミニなことばかり。しかし、店作りにおいて大事なのは、日常業務における「なぜ」の追求なのである。

 どんな小さなことも、「なぜ」そうするかを考え抜く。「なんとなく」で続けている無意味なルーティンを潰していく。こうして1,000本ノックのように「なぜ」を打ち続けていくと、スタッフ自らが考え行動する、強い店舗ができあがる。

 そして社長が現場に出向いていれば、「今すぐ!」の判断ができる。店舗運営にまつわる細かな判断も、大きな経営判断も同じ「今すぐ!」だ。私自身が、接客状況や商品動向、お客さまの声に触れながら、スタッフからの疑問にもその場で答える。経営判断に必要なデータも、ライブで掌握する。

 つまりここでは、本社と現場の距離がゼロなのだ。「現場が動かない」と悩む本社もいなければ、「本社は何もわかっていない」と愚痴る現場もいない。本社と現場が一つになっているからこそ、何をするにも早い。全社会議で決まった施策が、その日のうちに全店舗で実施されることも、メガネスーパーなら珍しいことではない。

 それが私たちの0秒経営だ。私1人が「やれ」といったところで、到底実現できるものではない。私たちは何をするにも全員で考え、全員で動いてきた。だから速い。スピード重視の見切り発車で痛い目にあったこともある。だが断言したい。私たちのような中小企業が、普通の経営をしていたら、勝てるはずがないのだ。

8年連続赤字からV字回復できた、たった一つの理由

 たった4、5年前までメガネスーパーは倒産寸前だった。では、何が変わったのか。まず、ビジネスモデルの大転換がある。2014年6月、私たちは「アイケアカンパニー宣言」を掲げた。これを境に、安売りメガネのイメージを払拭、「眼の健康」にまつわる専門知識を武器に、高付加価値のサービスを提供するようになった。

 ターゲットは40歳以上のミドル・シニア。最大50項目を超える独自の検査を行い、

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