- 本書の概要
- 著者プロフィール
「0から1は生まれない」、これが本書を通じて主張されているコンテンツづくりの本質だ。だからこそ、企画者には様々なインプットの量が必要だと著者はいう。本書では、その上で「特定の一人に刺さるものをつくる」「テクノロジーを利用する」といった方法で人々に認知させ、コンテンツの「一般化」というゴールへと導く道筋を解説する。
世の中のものすべてがコンテンツとなりうる現代。コンテンツを生み出すクリエイターだけでなく、利用したり応用したりという形でコンテンツを扱うすべてのビジネスパーソンにとって、本書の知見は間違いなく有用だ。著者は「逃走中」「戦闘中」などの人気 TV番組の企画、ゲームプロデュースなども行なってきたコンテンツプロデューサー。
コンテンツプロデューサー。株式会社ジェネレートワン代表取締役CEO。1998年フジテレビ入社、営業局にてスポットセールスプランニングに従事。その後、編成制作局にて「逃走中」「戦闘中」「Numer0n(ヌメロン)」など企画性の高い番組を多数企画。「逃走中」「戦闘中」ではニンテンドー3DSのゲームもプロデュースし、シリーズ累計100万本を超えるセールスを達成。「Numer0n」ではアプリ化を前提とした企画としてゲーム内容からデザインし、スマートフォンアプリは350万ダウンロードを記録。また、DJ活動も行い、自身もソロアルバム(CD)を全国リリース。
フジテレビを退社した現在、様々な業種の新事業企画、新商品企画、広告プロモーション戦略立案など、幅広いコンテンツプロデュース・コンサルティングを行っている
序 章 コンテンツとは何か
第1章 コンテンツをつくる
第2章 コンテンツを広げる
第3章 テクノロジーとコンテンツ
第4章 コンテンツの終わり
おわりに
要約ダイジェスト
世の中のもの、すべてが「コンテンツ」
「コンテンツ」という言葉の意味は実はあまり定義されていない。一般的にはアニメやマンガ、映画や音楽など、モノや映像がブランド化されて、それがビジネスに繋がったりしているものがコンテンツだと認識されている。
しかし、私は「この世にあるものすべてがコンテンツである」と考えている。世の中に存在するものは、すべて誰かの発明であったり、誰かの想いが詰まっていたりする。それを生活者に分かりやすい形で伝えたり、感情に訴えかけることで「コンテンツ化」できるのだ。
例えば「南アルプスの天然水」という商品。長野県や山梨県の人たちからすると、その価値には気づかないし、そもそも水をボトルで飲もうとも思わない。しかし、首都圏の人からみると、「大自然の中で育まれた水」というイメージが広がり、価値あるものと認識される。
そうなれば、ボトルウォーターのみならず、「南アルプスの天然水で作られた水ようかん」「南アルプスの天然水源流を辿るトレッキングツアー」など、多様な商品に広がっていく可能性を秘めた「コンテンツ」になる。
個人に置き換えても同じだ。自分のことは自分自身では中々分からないが、たまに自分を冷静に分析出来る人がいて、彼らはどの分野でも活躍できる。同様に、自分たちの住んでいる地域や属性が、外からはどう見えるのか理解できれば、身の回りの物をコンテンツ化できるのだ。
このようにコンテンツ化とは、「価値を感じたい」と思っている人たちに、「価値を感じてもらえるよう仕立てる」ことだが、そうして出来上がったモノには「想い」が付加されている。逆に言えば、「想い」のないコンテンツは当たらない。コンテンツづくりに失敗するよくあるケースは「誰が決めているのかわからない」状態になるときで、その状態になると何を間違えたのか判断できない。これを防ぐのは、結局、企画者の「想い」なのだ。
コンテンツをつくる
コンテンツ化には企画者の強い想いが大切だ。企画者は思い描いたビジョンを具現化するために頑張るのだが、進めていくと必ず「予算」「時間」「サイズ」いずれかの壁にぶつかる。しかし、制約に不満を持つことは、大きな勘違いだ。制約があるからこそ生まれるものがある。
例えば主婦が何か食事を作るとき、冷蔵庫を開けてから考えると言う。「じゃがいもと玉ねぎとにんじんがあった。じゃあカレーにしよう」という具合だ。たくさん材料があったら逆に困るのだ。また、CMは 15秒や 30秒だから出来た文化である。制約はむしろアイデアの種になるし、完成させるための救いなのだ。
コンテンツをつくるとき、最初に決めることは「目的」だ。コンテンツは出来上がったあとも世相、