『なぜ倒産―23社の破綻に学ぶ失敗の法則』
(日経トップリーダー編集部/編)

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 「成功はアート、失敗はサイエンス」という言葉がある。企業が成功する理由はさまざまでも、倒産には明確な要因と倒産に至るパターンがある。経営者にとって成功事例を知ることも大切だが、ある程度パターンを読み取れる失敗事例から学べるものは大きいということだ。本書では、そうした失敗の定石を、23の中小企業の実例を通して明らかにする。

 大ヒット商品を生み出した企業、時流に合ったビジネスモデルを確立した企業、大口顧客を抱え安定経営を実現していた企業…、こうした企業がなぜ経営破綻にまで追い込まれたのか。本書では、経営破綻のパターンを「急成長の落とし穴」「ビジネスモデルの陳腐化」「リスク管理の甘さ」という3つの切り口、11の破綻の定石で分類する。

 本書の元になったのは、『日経トップリーダー』誌の人気連載「破綻の真相」。実例には、経営者や取引先など、関係者の証言も多く盛り込まれている。同連載は 25年以上も続いているが、その間も経営環境は変化し続けてきた。それでも失敗の定石は高い確率で当てはまるという。中小・ベンチャー企業経営者・経営層には間違いなく必読の書だ。

編集:日経トップリーダー編集部
企業経営者向けの月刊誌(日経BP社発行)。1984年「日経ベンチャー」として創刊し、2009年「日経トップリーダー」に誌名変更。次世代の経営者を育てるべく、名経営者の独自の発想や高収益企業を支えるユニークな仕組みなど取材、わかりやすく解説する。本書の題材となった「破綻の真相」は、1992年「倒産の研究」として始まり、四半世紀以上続く人気連載
協力:帝国データバンク、東京商工リサーチ
第1章 急成長には落とし穴がある
 破綻の定石1 脚光を浴びるも、内実が伴わない
 破綻の定石2 幸運なヒットが、災いを呼ぶ
 破綻の定石3 攻めの投資でつまずく
【COLUMN】倒産の定義と現況
第2章 ビジネスモデルが陳腐化したときの分かれ道
 破綻の定石4 世代交代できず、老舗が力尽きる
 破綻の定石5 起死回生を狙った一手が、仇に
 破綻の定石6 負の遺産が、挽回の足かせに
 破綻の定石7 危機対応が後手に回る
【MESSAGE】会社を潰した社長の独白(1)
第3章 リスク管理の甘さはいつでも命取りになる
 破綻の定石8 売れてもキャッシュが残らない
 破綻の定石9 1社依存の恐ろしさ
 破綻の定石10 現場を統率しきれない
 破綻の定石11 ある日突然、謎の紳士が…
【MESSAGE】会社を潰した社長の独白(2)

要約ダイジェスト

急成長には落し穴がある

格安ピザ店で80店超に急成長、借り入れ頼みで資金繰りが限界に

 2017年4月28日、遠藤商事は東京地方裁判所に破産を申し立て、手続き開始決定を受けた。創業から6年で直営店と FC店を合わせて一時は国内外に80店以上を展開。2016年9月期には売上高 25億2,000万円を確保していた同社の破産は大きな波紋を広げた。

 遠藤商事は2011年5月の設立。ピザ店「ナポリスピッツァ アンド カフェ」を開発し、2012年4月、マルゲリータ1枚 350円」を打ち出して東京・渋谷に1号店を出すと女性客が殺到した。積極出店の武器となったのが、誰でもピザがうまく焼けるという窯や生地伸ばし機のセット。アルバイトでも1枚 90秒で本格ピザを提供できる。

 しかし、複数の FC店オーナーが「倒産の最大の要因は、出店のスピードが速すぎたことだ」と口をそろえる。一般に、FCチェーンの本部はマニュアルや教育の仕組みを整え、スーパーバイザー(SV)の社員が定期的に担当の店を回って店の運営をフォローする。

 「普通なら営業前の何日かは教育研修があるものだが、遠藤商事は「うちでしばらく人を出しますから、すぐ店をやりましょう」と出店を進めることが多かった」とある FC店オーナーは振り返る。ところが「2、3ヵ月すると、遠藤商事から手伝いに来ていた社員は、別の新規出店を支援するためにいなくなってしまう」(同)。

 それでも出店のアクセルを踏み続けたが、金融機関からの借り入れに頼った強気の出店で運転資金を確保する手法は長続きしない。負債が増えて金融機関の姿勢が変わると、一気に資金繰りは苦しくなった。

 2017年4月半ばには、代金の未払いが続いたある取引先が遠藤商事の預金の仮差し押さえに動いた。給与の未払いで出社をやめた従業員が出て一部の店は閉めざるを得なくなった。ついには営業を続けられずに、

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