- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書は、野村證券で当時最年少取締役に就任した営業のプロである著者が、そんな営業の基本となる心構えや動き方から、強い営業組織の作り方までを伝授する一冊だ。著者の営業術の根本は「お客様目線」にあり、これをお題目ではなく徹底できるかどうかで、営業として成長できるか否かが決まるのだ。本書にはその実践のヒントが詰まっている。
著者は野村證券 取締役大阪支店長、代表取締役専務・事業法人担当を経て、ベンチャー企業を支援するジャフコ代表取締役副社長、日本ベンチャーキャピタル代表取締役社長などを歴任。現在も社外取締役などとして多くの企業の経営に携わる人物。若手からベテランまで、普遍的な営業の原則を学びたい方はぜひご一読いただきたい。
1944年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、野村證券に入社。東京の町田支店に配属され、福岡支店、名古屋駅前支店と一貫して個人営業畑を歩んだ後、人事部を経験。1986年、第一事業法人部長に就いたその翌年、当時43歳という異例の若さで取締役大阪支店長に抜擢。この人事は、当時マスコミでも話題となり、新聞各紙をはじめ数々の雑誌にも取り上げられた。当時の社長からは、コツコツタイプの「営業の鑑」と評され、1996年、代表取締役専務・事業法人担当を歴任。
1997年以降は、野村證券事業法人業務のキャリアを生かして、ベンチャー企業の成長・育成に尽力している。1999年ジャフコ代表取締役副社長に就任。2002年野村インベスター・リレーションズ取締役会長を経て、2005年に日本ベンチャーキャピタル代表取締役社長、日立キャピタル取締役に就任。現在、酉島製作所、宝印刷、光通信グループ、アクアバンク、ケアギバー・ジャパン、フェドラ、MRI、ワン・ワールド、エグゼクティブ・パートナーズなど多くの企業の社外取締役や監査役を務めている。
野村證券の新人の時代から今に至るまで50年以上も、独自の「備忘ノート」に、仕事で気づいたそのノウハウ、売る力の秘密、生きる術などを即、メモしている。著書に『「売る力」ノート』『営業マンの君に勇気を与える80の言葉』(かんき出版)があり、講演依頼も後を絶たない。
第2章 お客様をひきつける営業は、“心構え”と“準備”にある
第3章 お客様に「この人から買いたい」と思ってもらうコツ
第4章 結果を出す営業ほどツキを呼ぶ働き方をしている
第5章 お客様が途切れない営業が見えないところで続けていること
第6章 部下がどんどん成長するリーダーが心がけていること
要約ダイジェスト
営業の究極の目的は利益を上げること。そのために頭と体をフル回転させる
営業という言葉を辞書で調べてみると、「利益を目的として事業を行うこと」「収益を得る目的で継続的に業務を営むこと」とある。つまり、利益を得ることが営業という仕事の第一の目的なのだ。
そのために知恵を絞り、体を動かして結果を出すのが営業の使命だ。言い換えれば「1万円札を、1万円より高く売ってみる」というのが、営業に求められる力である。例えば、紙幣にアイロンをかけて新札のようにしたら、1万 30円で売れるかもしれない。結婚式用にご祝儀袋を仕入れて、その中に新札を入れたら、1万 500円くらいで買う人が現れるかもしれない。
このように、利益を得ようとすると、頭を使ったり手間をかけたりしなければならなくなる。それが営業という仕事の厳しさであり、醍醐味でもある。常日頃から売れない理由ではなく、いかに売るかという視点を持つ。このような日々の意識づけや、「利益のために、努力と工夫を重ねる」ということを、すべての営業は胸に刻んでおくべきだ。
売り込みが終わったらすぐに席を立ちなさい
営業が下手な人は初回のトークで頑張りすぎる傾向があり、その時買ってくれればいいが、もし「ノー」と言われたら次に会う糸口がなくなってしまう。一方、営業がうまい人は、1回目の営業は「問診」と割り切る。お客様の要望や不満を読み取り、買っていただく場合、何を問題視しているかを引き出すことを心がけるのだ。
私なりの面会の“必勝パターン”では、例えば 30分の面会時間ならば、最初の5~6分は雑談に費やす。なぜなら、いきなり商談を切り出すとお客様も身構えてしまうからだ。お客様の気持ちをほぐしておくだけで、頭ごなしに「ノー!」と言われる可能性がかなり低くなる。
雑談によってお客様の警戒心が解けてきたと感じられたら、「~をしましょう」と提案する。その際、お客様からの質問には丁寧に答える。質問があるのは興味があるサインだから、うやむやにせず、その場でわからないことがあれば、「すぐに調べてお電話します」と伝える。
その日の提案が十分に伝えられたら、「ぜひご検討お願いいたします。また、お伺いいたします」と言って、パッと席を立つ。実はここが大きなポイントだ。本題を述べた後、