『小売再生―リアル店舗はメディアになる』
(ダグ・スティーブンス/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 デジタル技術やインターネットが発達し、従来の小売業者は岐路に立たされている。今までのやり方を変えなければ、アマゾンなどのネット販売との安売り競争とコモディティ化の波に飲まれ、淘汰されてしまうからだ。しかし、リアル店舗が完全になくなる日が来るのかと言うと、そうではないと著者は言う。必要なのは新しい形の店舗なのだ。

 本書では、今小売業界で起きている変化やデジタル技術との関係を冷静に把握し、「学ぶ」「見る」「触る」「楽しむ」といった体験を重視した“未来のショッピング空間”の重要性を説く。リアルとバーチャルを融合させ、顧客の体験を充実させることができれば、ネット販売の脅威に怯える必要はないのだ。

 店舗やサービスにおける「体験」の重要性や漠然とした不安は感じていても、その実践に迷う方も多い。その点本書では、世界的に活躍する小売コンサルタントである著者が未来を明確に予測し、対応の方向性を指し示す。先進事例も数多く提示され、自社での活用の教科書になるはずだ。これからの小売業界に携わる人は必読の一冊といえるだろう。

著者:ダグ・スティーブンス(Doug Stephens)
 世界的に知られる小売コンサルタント。リテール・プロフェット社の創業社長。人口動態、テクノロジー、経済、消費者動向、メディアなどにおけるメガトレンドを踏まえた未来予測は、ウォルマート、グーグル、セールスフォース、ジョンソン&ジョンソン、ホームデポ、ディズニー、BMW、インテルなどのグローバルブランドに影響を与えている。本書のほかに、The Retail Revival:Re-Imagining Business for the New Age of Consumerismの著書がある。

訳者:斎藤 栄一郎(Saito Eiichiro)
 翻訳家・ライター。山梨県生まれ。主な訳書に『1日1つ、なしとげる』『イーロン・マスク 未来を創る男』『SMARTCUTS』『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』(以上講談社)、『TIME TALENT ENERGY』(プレジデント社)『フランク・ロイド・ライト最新建築ガイド』『テレンス・コンラン MYLIFE IN DESIGN』(以上エクスナレッジ)『マスタースイッチ』(飛鳥新社)などがある。

第Ⅰ部 小売はもう死んでいる
 第1章 マーク・アンドリーセンの不吉な予言
 第2章 ウォルマートのジレンマ
 第3章 汝の敵、アマゾンを知れ
 第4章 アマゾンとアリババの後からも続々と
 第5章 物流をめぐる仁義なき戦い
 第6章 広告が効かない世代との付き合い方
 第7章 2つの未来、どちらを選ぶか?
第Ⅱ部 メディアが店舗になった
 第8章 Eコマース 3.0
 第9章 AIで実現するCコマースの世界
 第10章 VRで買い物体験が激変する
 第11章 「あなたに合うものだけ」の店
 第12章 自動車も3Dプリンターで!
 第13章 もうリアルな店はいらない?
第Ⅲ部 店舗がメディアになる
 第14章 なぜ人は買い物が好きなのか?
 第15章 モノはいらない、経験が欲しい
 第16章 未来のショッピング空間
 第17章 オムニチャネルの終焉
 第18章 ブランドアンバサダーの時代
 第19章 明るい新時代へ
第Ⅳ部 小売再生戦略
 第20章 他者に破壊される前に自己破壊できるか
 第21章 小売のイノベーションを再定義する
 第22章 アイデアだけでなくプロトタイプを
 第23章 創業者のメンタリティ
 第24章 帝国ではなくネットワークを築け
 第25章 小売は死なず

要約ダイジェスト

メディアが店舗になる

 テクノロジー分野の投資家として知られるマーク・アンドリーセンが 2013年1月のインタビューで小売業界を憂えてこんな言葉を残している。「もう小売店は店をたたむしかないでしょう。みんなネットで買い物をすませるようになりますから」。

 これだけの新しい技術が浸透したというのに、小売という概念や小売業のあり方は、この間ほとんど変化していない。店に足を運び、商品を見て回り、代金を払うという一連の行動が 200年前から基本的に変わっていないのである。

 かといって、そのうち実店舗が消え去るという考えは、買い物の人間的な側面を否定し、単なる物資調達という感情の介在しない行為に貶めるものだ。では、結局のところ小売はどこへ向かっているのか。

 将来はわれわれの想像を絶する驚くべき状況になりそうだ。オンラインかオフラインかを問わず、小売は歴史的な大転換を遂げようとしていて、ネット通販も店舗販売も、現在の買い物のありようとは似ても似つかない姿になる。店とはどういうもので、何が店の本分なのかといった根本が書き換えられようとしているのである。

 わたしたちの目の前で起こっていることは、「メディア」と「店」がそれぞれ担っていた役割が入れ替わるという歴史的な転換だ。メディアがある一線を超えて実質的に「店」になろうとしている。メディアは店としてさらに完璧になっていくだけでなく、近いうちにデジタルか実物かの区別さえ難しくなる。従来、店が担っていた役割をメディアが兼ねるだけでなく、

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