『そして日本経済が世界の希望になる』
(ポール・クルーグマン/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次(主要)
 本書では「ノーベル賞経済学者」として、また「経済学の鬼才・天才」としても世界的に有名なポール・クルーグマン氏が、アベノミクスをテーマに日本経済の未来を説く。相手がだれであろうと強烈な批評を行うパーソナリティを持つ著者だが、経済界における存在感は群を抜いている。

 そんなクルーグマン氏は、「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」という三本の矢からなるアベノミクスに対しては「非常に期待している」という評価を下している。もちろん金融・経済施策は国際政治とも密接に絡み合っているため、全ての施策に全面賛成しているわけではないが、アベノミクスの何を評価し、何を評価していないのか、そしてどのようにすべきなのかが歯切れよく書かれている。アベノミクスの源流ともいえる政策理論を1998年当時から説いてきた著者ならではの洞察力あふれる一冊。

著者:ポール・クルーグマン(Paul Krugman)
 1953年ニューヨーク州生まれ。74年イェール大学卒業。77年マサチューセッツ工科大学で博士号を取得。イェール大学助教授、マサチューセッツ工科大学教授、スタンフォード大学教授を経て、2000年よりプリンストン大学教授。大統領経済諮問委員会の上級エコノミスト、世界銀行、EC委員会の経済コンサルタントを歴任。1991年にジョン・ベイツ・クラーク賞、2008年にノーベル経済学賞を受賞。『ニューヨーク・タイムズ』紙のコラムはマーケットを動かすほどの影響力をもつといわれる。

監修・解説:山形浩生(ヤマガタ ヒロオ)

第1章 「失われた20年」は人為的な問題だ
第2章 デフレ期待をただちに払拭せよ
第3章 中央銀行に「独立性」はいらない
第4章 インフレ率2パーセント達成後の日本
第5章 10年後の世界経済はこう変わる
解 説 山形浩生

要約ダイジェスト

金融緩和、インフレターゲットによって、何ができるのか

 2013年4月、日本銀行の黒田総裁は、マネタリーベース(日本銀行が供給する通貨)を二年間で倍増させる「異次元の金融緩和」を打ち出した。安倍政権が標榜する、大胆な金融緩和という「第一の矢」の明暗を分けるものは何か。金融緩和には大きく分けて二つの成功条件がある。

 第1条件は、人びとがもつ将来への期待を変えることである。まず、国家の経済は将来的に落ち込まない、と人びとが信じること、そして中央銀行が実際に、その金融緩和を実現に移すと信じられること――それが現実のインフレを引き起こす。将来インフレが到来すると人びとが信じれば、

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