- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、最新の情報に基づき、グローバル人事のパターン、ダイバーシティ、リーダーシップ、後継者育成、組織開発などのテーマでグローバル人事を機能させるポイントをわかりやすく示す。さらにグローバル企業の人事責任者へのインタビューも収録されており、一読すれば自社の経営戦略に沿った最適な人事施策が見つかるはずだ。
著者は人事のグローバル化で重要なのは、海外企業の真似ではなく、日本型組織の強みをアップデートすることだと説く。人事担当者はもちろん、経営者など経営と人事に関わる方はぜひご一読いただきたい。著者は 200社以上の人事コンサルティング経験を持つ人事戦略のスペシャリストで、SAPジャパン株式会社人事・人財ソリューションアドバイザリー本部本部長。
人事・人材戦略コンサルティングのスペシャリスト。SAPジャパン株式会社 人事・人財ソリューションアドバイザリー本部 本部長。兵庫県神戸市出身。大阪大学法学部卒業後、アメリカ企業を経て 2004年より SAPジャパンに入社。人事ソリューション事業責任者、アプリケーション営業責任者などを歴任し現職。現在、SAP Asia Pacific Japanに所属。2015年、日本企業によるグローバル人事の事例とその手法を記した『世界最強人事 グローバル競争で勝つ 日本発・人材マネジメント』(幻冬舎メディアコンサルティング)を出版。2017年度、立命館大学経営大学院にて「人的資源管理」講師を担当。
日本企業のグローバル経営において、「人事のグローバル化」「グローバルで活躍する人づくり」「イノベーションを現実にする組織づくり」といった課題を、「日本企業の強みを生かしたグローバル人事」によって解決する手法を15年にわたって提唱し、200社を超える人事コンサルティングの実績を持つ。経営戦略から人事戦略へ落とし込むノウハウを強みとし、「企業が勝つための人事」の提言に定評がある。
第2章 「人の価値」を正しく測る
第3章 「人材配置」を成功に導く戦略
第4章 グローバル・リーダーをどのように育てるか
第5章 自ら成長し変化する最強の組織づくり
第6章 テクノロジーがもたらす未来の人事
【特別寄稿】早稲田大学ビジネススクール準教授 入山章栄 「人事が意思決定するための知識・考え方を網羅している良質な手引書」
要約ダイジェスト
グローバル人事の三段階モデル
海外で事業展開している企業には、組織形態や事業の状況や特性、グローバル展開の方向性などにより、大きく分けて以下の3つのグローバル人事の段階がある。
セントラル人事:
本国、本社の人材を海外でも活躍できるよう育成して海外の支社や現地法人に派遣し、主に現地企業との合弁や協業によって、現地のニーズに応えた製品、サービスを提供していく。韓国の Samsungなどがこのやり方をとっており、ひと昔前の日本の商社や銀行もこれに近いモデルだった。
マルチナショナル人事:
現地のマーケットに対して最適な製品やサービスを提供するため、現地法人の社員はもちろん、トップにも現地で採用・育成した人材を登用し、必要な権限も委譲し、経営のほとんどを現地に任せる。今、多くの日本企業が目指しているグローバル人事のモデルである。
コマツ、コニカミノルタなどは早い段階からこのモデルを取り入れて海外展開しており、実はネスレなど多くの海外企業もこのモデルを採用している。現地社員の育成と登用のサイクルを回していくことで、社員のエンゲージメント(企業に対して社員が感じるつながり)を高めるのがこのモデルの特徴である。
ただし現地の力が強くなりすぎると、本社のガバナンスが効きにくくなり、不正やコンブライアンス違反などの問題が起こるリスクがある。こうした過剰な現地化を防ぐため、