- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者は「待って、何それ?」「どうして~なんだろう?」「何が本当に大事?」など、シンプルな5つの質問について、さまざまなエピソードを絡めながら、その重要性と使い方とが具体的に説く。これらは好奇心や探究心の源となり、良い関係を築く足がかりとなり、さらには自分自身の根幹に目を向けさせてくれるものだ。
本書の元となったのは、インターネット上で世界中に拡散し、1,000万回超再生された名演説として知られる、著者のハーバード大学教育大学院卒業式のスピーチ。職場の会議や人間関係、家族とのコミュニケーションの場面などで何らかの行き詰まりを感じるビジネスパーソン、あるいはキャリアや人生を改めて考えたい読者はぜひご一読いただきたい。
第11代ハーバード大学教育大学院長。法律と教育の専門家。エール大学卒業後、バージニア大学ロースクールで学び、弁護士として活躍。バージニア大学ロースクールでマセソン・アンド・モーゲンソウ特別教授を務めた。主な著書に『Five Miles Away, A World Apart』がある。
訳者:新井 ひろみ(Arai Hiromi)
翻訳家。徳島県出身。主な訳書にテッサロ『パフューム』(ハーパーコリンズ・ノンフィクション)、ロバートソン『いま、君にさよならを告げる』、ギアリ『蜂のざわめき』(以上ハーパーBOOKS)がある。
Chapter1 Wait,What?——待って、何それ?
Chapter2 I Wonder…?——どうして~なんだろう?
Chapter3 Couldn’t We at Least…?——少なくとも~はできるんじゃないか?
Chapter4 How Can I Help You?——何かできることはある?
Chapter5 What Truly Matters?——何が本当に大事?
おわりに 究極の問い
要約ダイジェスト
なぜ人は問うのか?
一般的な意味の「問い」について、2つの提案をしたい。まず1つ目は、適切な問いの持つ意義をじっくり考えてみることだ。人は、正しい答えを出さなければ、と懸命になるが、答えと同じぐらい問いが大切であり、答え以上に大切な場合もしばしばある。
単純な真実だが、答えの質は、質問の質を超えられない。適切でない問いには、適切でない答えしか返ってこない。どのような仕事でも、成功するには良い質問をする能力が不可欠で、良い問いかけは人間を人間たらしめている要素のひとつだ。パブロ・ピカソは、コンピューターなど答えるしか能のない役立たずではないか、と言った。
第二の提案は、良い質問に耳を傾けることだ。質問が下手なままで終わるかどうかは受け手しだいだ。あなたを貶め、揚げ足を取ろうとする悪意のある問いは要警戒だが、受け手であるあなたが、注意深く、広い心を持って耳を傾けるならば、悪い問いも良い問いに変わりうる。
問いは鍵に似ている。適切なときに発せられた適切な問いは、未知の世界へ続くドアを開いてくれる。他者や自身について、知らなかったこと、気づかなかったこと、考えてみもなかったことが、ドアの向こうにあるかもしれない。以下に紹介する5つの問いは、あなたのキーホルダーにぶら下がる大切な5つの鍵だ。
「待って、何それ?」——対象を明確にし、理解を促す
「Wait, What?(待って、何それ?)」を大事な問いのトップに持ってきたのには、わけがある。相手の発言内容をより明確にするのに有効な問いかけだからだ。アイディアであれ、意見であれ、提案であれ、対象を明確にすることは、それを真に理解するための第一歩だ。
「何それ?」に先立つ「待って」は、不要な一言だろうか?いや、必要である。真の理解のためにはスローダウンする必要があることを、双方に思い出させてくれるからだ。私たちはみな、わかってもいないのにわかったつもりになり、立ち止まってみることを忘れがちだ。それによって、本来の価値を知るチャンスを失ってしまうのだ。
話し合いがスムーズにいかないとき、感情的になったとき、