『「AIで仕事がなくなる」論のウソ―この先15年の現実的な雇用シフト』
(海老原嗣生/著)

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 現在「AIに仕事を奪われる」といった議論がいたるところで展開され、それに対する反応は仕事を将来を案じる人、自分が現役の間は逃げ切れると楽観視する人などに分かれる。しかし、実は AIによる雇用崩壊を報告しているレポートでは、実際の現場を調べずに書かれていることが多く、現実的予測として議論のベースにするには危険が残るという。

 そこで、実務現場や職種のタスクをもとに、丁寧に雇用の未来を分析したのが本書だ。著者によれば、大前提として、生産年齢人口が急速に減少する日本では、AIによる仕事の代替は歓迎すべきことだ。そして予測可能性が高い今後 15年程度の予測に絞ると、AIに雇用が代替される前に「すき間労働社会」が訪れる。これは、機械で代替できない細々としたすき間の仕事を人間が担う段階であり、雇用が本格的に減少するのはその後なのだ。

 将来の雇用に対して漠然と不安を抱いている方はぜひご一読いただきたい。仕事が奪われるという恐怖から扇動的な話になりがちな AI代替論を、一つ一つ現実に即して確かめ、何を準備すべきかがわかるはずだ。著者は経済産業研究所コア研究員やリクルートキャリア社フェローを務め、雇用ジャーナリストとしても活躍する人事・雇用の専門家。

著者:海老原嗣生(Ebihara Tsuguo)
 雇用ジャーナリスト、経済産業研究所コア研究員、立命館大学客員教授、奈良県行財政改革推進プロジェクトワークマネジメント部会長、人材・経営誌『HRmics』編集長、ニッチモ代表取締役、リクルートキャリア社フェロー(特別研究員)。
 1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。その後、リクルートワークス研究所にて人材マネジメント雑誌『Works』編集長に。2008年、人事コンサルティング会社「ニッチモ」を立ち上げる。『エンゼルバンク――ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載)の主人公、海老沢康生のモデル。
 主な著書に『雇用の常識「本当に見えるウソ」』(ちくま文庫)、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(小学館文庫)、『仕事をしたつもり』(星海社新書)、『女子のキャリア』(ちくまプリマー新書)、『無理、無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』、『経済ってこうなってるんだ教室』(ともにプレジデント社)などがある。
Chapter1.しっかり振り返ろう、AIの現実
 1.ただいま人工知能は第3回目のブーム
 2.ディープラーニングも AI進化の通過点でしかない
 3.「AIで仕事がなくなる」論の研究価値
 4.世紀の発明による社会変化と雇用への影響
 5.プロが見た AI亡国論の妥当性
Chapter2. AIで人手は要らなくなるのか、実務面から検証する
 1.AIで仕事はどれだけ減るか①事務作業の未来
 2.AIで仕事はどれだけ減るか②サービス流通業の未来
 3.AIで仕事はどれだけ減るか③営業職の未来
Chapter3.この先15年の結論。AIは救世主か、亡国者か
Chapter4.15年後より先の世界。“すき間労働社会”を経て、“ディストピア”か

要約ダイジェスト

日本の労働人口の 49%が AIによって失業する!?

 2013年にオックスフォード大学のプレイとオズボーンが「近い将来、9割の仕事は機械に置き換えられる」と研究報告してから、すでに5年経った。だが現在、雇用は減るどころか、世界中が人手不足に悩まされている。結果、逆に AIの進化を甘く見る人たちも増えてきた。だが正直に言えば、「今すぐなくなる」論と「心配ない」論、どちらにも問題がある。

 2015年 12月、野村総合研究所が衝撃的な研究結果を発表した。今後20年以内に、労働人口全体の 49%が AIやロボットによって代替される可能性が高い、というのだ。ただし、これは、技術的な代替可能性を示すだけのものだ。機械化や自動化を考えるのなら、そのタスクごとに調べなければならないが、この研究ではそれがなされておらず、単純化し過ぎの感がある。

 一方、マッキンゼー・アンド・カンパニーが 2017年1月に出したレポート「未来の労働を探求する:自動化、雇用そして生産性」では、800以上の職業における 2,000以上の具体的な作業活動(タスク)を分析しており、少し精度の高い内容となっている。

 同調査によれば、すべてが自動化の対象となる職業は全体の5%未満と非常に少ないが、およそ 60%の職業では、

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