『残酷すぎる成功法則 ―9割まちがえる「その常識」を科学する』
(エリック・バーカー/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 いわゆる「成功法則」を説いた本は数多くあるが、成功要因の一面だけを切り取っていたり、著者の個人的経験を述べたにすぎないものも少なくない。それが本当に使える理論かどうかは検証されておらず、普遍性に欠けるのだ。本書はそんな世にあふれる成功法則の一つ一つに対し、エビデンスを示しながら解説した異色の自己啓発書だ。

 数々の調査によって明らかになるのは、成功するには「エリートコースを選ぶべき」「『いい人』は成功できない」といった通説の真偽だ。これらを覆すものもあれば、そのとおりであると実証されるものもある。それぞれに実際のデータや人物のエピソードなども添えられ、より具体的に理解しやすいのも本書の特徴となっている。

 また、400ページ近い大著だが、ユーモアのある書きぶりや、監訳者でベストセラー作家でもある橘玲氏の序文や解説が理解を助けてくれる。著者はアメリカの人気ブロガーで「ニューヨークタイムズ」誌などに記事が度々掲載されている人物。自己啓発書を読み疲れた方や何を信じるかを迷っている方は、ぜひご一読いただきたい。

著者:エリック・バーカー(Eric Barker)
 大人気ブログ“Barking Up The Wrong Tree”の執筆者。『ニューヨーク・タイムズ』紙、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙、『タイム』誌などが度々その記事を掲載し、米国最重要ブロガーの一人と目される。
 脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴をもち、任天堂のゲーム機「ウィー」のマーケティングの指針を助言するなど独自の研究に裏打ちされたビジネス才覚は一流企業からも信頼が厚い。世の中のありとあらゆる成功ルールを検証した『残酷すぎる成功法則―9割まちがえる「その常識」を科学する』は、初の書き下ろしにして全米ベストセラーに。

監訳:橘 玲(Tachibana Rei)
 作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)、『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)などベストセラー多数。『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』でビジネス・自己啓発ジャンルの書籍を初めて監訳。

翻訳:竹中 てる実(Takenaka Terumi)
 翻訳家。上智大学大学院修士課程(国際関係論専攻)修了。共訳書にヤンツ『クチコミ・エンジンの作り方』(ダイレクト出版)がある。

監訳者序文
序 章 なぜ、「成功する人の条件」を誰もが勘違いしているのか
第1章 成功するにはエリートコースを目指すべき?
第2章 「いい人」は成功できない?
第3章 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てないのか?
第4章 なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか
第5章 「できる」と自信を持つのには効果がある?
第6章 仕事バカ……それとも、ワーク・ライフ・バランス?
結 論 本当に人生を成功に導く法則は何か
監訳者解説
参考文献・邦訳文献

要約ダイジェスト

なぜ高校の首席は億万長者になれないのか

 ボストン・カレッジの研究者であるカレン・アーノルドは、1980~90年代にイリノイ州の高校を首席で卒業した 81人のその後を追跡調査した。その 90%が専門的キャリアを積み、40%が弁護士、医師、エンジニアなど、社会的評価の高い専門職に就いた。

 彼らは堅実で信頼され、社会への順応性も高く、多くの者が総じて恵まれた暮らしをしていた。しかし、世界を変革したり、動かしたり、あるいは世界中の人びとに感銘を与えるまでになった者はゼロだった。

 アーノルドの見解によれば、高校でのナンバーワンがめったに実社会でのナンバーワンにならない理由は2つある。第1は、学校とは、言われたことをきちんとする能力に報いる場所だからだ。学力と知的能力の相関関係は必ずしも高くはなく、学校での成績は、むしろ自己規律、真面目さ、従順さを示すのに最適な指標である。

 第2の理由は、学校は学生の情熱や専門的知識はあまり評価しないが、ひとたび社会に出れば、大多数の者は、特定分野でのスキルが高く評価され、ほかの分野での能力はあまり問われない仕事に就くということだ。学校には明確なルールがあるが、人生となるとそうでもない。だから定められた道筋がない社会に出ると、優等生たちは勢いを失うのである。

偉大なリーダーの意外な条件

 いくつかの研究では、偉大なチームはリーダーがいてもいなくても成功をおさめると証明された。だが別の研究では、チームの成功を決める重要な要因はカリスマ性のあるリーダーだった。要するに議論が紛糾していたのだが、ハーバード大学ビジネススクールの研究者ゴータム・ムクンダは、研究結果に一貫性がなかったのは、リーダーが根本的に異なる2つのタイプに分かれるからだと分析した。

 第1のタイプは、正規のコースで昇進を重ね、定石を踏み、周囲の期待に応える「ふるいにかけられた」リーダー。第2のタイプは、正規のコースを経ずに指導者になった「ふるいにかけられていない」リーダーで、例えば、会社員を経ずに起業した企業家などを指す。

 「ふるいにかけられた」リーダーは常識的で、決定や手法が常套的なので、個々のリーダー間に大きな差異は見られない。リーダーが及ぼす影響力は大きくないとした研究結果が多く見られた理由はここにある。

 しかし、「ふるいにかけられていない」リーダーは、

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