『創造&老年 ―横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集』
(横尾忠則/著)

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  • 著者プロフィール
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 ピカソ、ミロ、シャガール、葛飾北斎など、90歳を超える長寿を全うした芸術家は多い。しかもその多くは、老いてなお創作意欲衰えることなく次々と作品を発表し続けている。本書は、自らも80歳を超えて活躍を続ける画家の横尾忠則氏が、そんな創作活動と長命の因果関係を足かけ3年にわたり探ったインタビュー・対談集である。

 対談の相手は、画家、小説家、写真家、俳人、映画監督、建築家など、現在も精力的に活動する年齢 80歳超の9人のクリエイター。創造哲学や人生観、モチベーションの保ち方から、健康や病気、死の問題まで、いずれもその道で名を成した人物らが語る内容は、創作だけでなく仕事や人生への深い示唆に満ちている。

 最後に対談を振り返った横尾氏は、彼らの共通点は「考えない」ことにあるという。言い換えれば 脳の声ではなく身体の声に従い、目の前の創作活動に夢中でい続けるということだ。対談者の多くも歳を重ねるごとに世間の声から自由になっていったと語っている。80代、90代が珍しくなくなり、人生100年時代とも言われるなか、年齢を重ねることが楽しみにすら感じるられるようになる一冊だ。

著者:横尾忠則(Yokoo Tadanori)
 1936年兵庫県生まれ。美術家。1969年第6回パリ青年ビエンナーレ展版画部門でグランプリを受賞し、1972年にニューヨーク近代美術館で個展。その後もパリ、ヴェネツィア、サンパウロなど各国のビエンナーレに出品し、アムステルダムのステデリック美術館、パリのカルティエ財団現代美術館などで個展を開催。
 1975年毎日産業デザイン賞、1995年毎日芸術賞、1997年ニューヨークADC殿堂入り、2001年紫綬褒章、2006年日本文化デザイン賞、2008年に小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞、2011年に旭日小綬章、同年度朝日賞、2013年神戸新聞平和賞、2015年高松宮殿下記念世界文化賞、2016年『言葉を離れる』で講談社エッセイ賞など。2012年、神戸に横尾忠則現代美術館、2013年に香川県に豊島横尾館開館。
はじめに―「したいこと」しかしない生き方
瀬戸内寂聴
磯崎 新
野見山暁治
細江英公
金子兜太
李 禹煥
佐藤愛子
山田洋次
一柳 慧
横尾忠則

要約ダイジェスト

野見山暁治 97歳(画家)——年寄りという自覚は全くない

 僕は自分で年をとったという自覚がない。自覚がないから、普通に動きまわっていると「良く動けますねえ」と言われる。でも、ムリしているわけではなく、普通に動いてるだけなのだ。いつでも今だけであって、過去をどうこうも考えないし、未来を予測することもない。

 ただ、自分で絵を描くのがのろくなったという感覚はある。1日で済んだことが3日も4日もかかるようになり、時間がヌラーッと流れていくような感じがする。思うに、他の動物は自分の年齢なんて知らない。人間は年齢を知っているばっかりに「俺は老人なんだ」と数字に支配されて、行動を制限しているような気がする。

 僕は、絵を描くときは頭を使わない。たとえば散歩しながら「原稿の出だしはどのように持っていこうか」と考えられるが、「今描いてる絵をどうしようか」とは考えられない。絵は画面に向かわない限り、考えようがないからだ。

 子どもはやたらラク描きばかりするが、

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