『デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク』
(牧田幸裕/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 現在、「デジタルマーケティング」という言葉の定義は錯綜しており、人によってインターネットプロモーションやデジタルチャネルの利用を指していたり、消費者の行動データを蓄積・活用する手法を指していたりする。これらは間違いではないが、部分的な側面の理解にとどまっており全体像が見えない。それゆえデジタルマーケティングが何かがわかりづらいのだ。

 本書では、デジタルマーケティングの肝は「データドリブン」(データによる消費者理解)と「オムニチャネル」(ECチャネルとリアル店舗のシームレスな統合)にあるとし、最終的な目標は消費者のエージェントになることであると定義。そこからデジタルマーケティングの全体像と戦略的フレームワークをわかりやすく解説する。

 著者はアクセンチュア、日本IBMなど外資系企業の要職を歴任し、現在は信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科准教授を務める人物。コンビニエンスストア、広告、自動運転などの未来予測や日本企業の先進的事例も豊富に解説され、デジタルマーケティングの全体像と可能性を知るための恰好の入門書だ。

著者:牧田 幸裕(Makita Yukihiro)
 信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授。1970年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。
 2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。07年より現職。2012年青山学院大学大学院国際マネジメント研究科非常勤講師。著書に『フレームワークを使いこなすための 50問』『ラーメン二郎にまなぶ経営学』『ポーターの『競争の戦略』を使いこなすための 23問』『得点力を鍛える』(いずれも東洋経済新報社)などがある。
序 章 20XX年のマーケティング―デジタルテクノロジーが実現する近未来
第1章 デジタルマーケティングとは何か
第2章 従来型マーケティングの戦略策定プロセス
第3章 デジタルマーケティングの5つの進化とフレームワーク
第4章 マーケティングのキープレイヤーはどう変遷するか
第5章 デジタルマーケティング実践に求められる能力

要約ダイジェスト

デジタルマーケティングとは何か

 デジタルマーケティングは、大きく2つに分解できる。「データドリブン」と「オムニチャネル」だ。「データドリブン」とは、消費者理解と消費者へのアプローチを、勘や経験ではなく、「データ」に基づいて行うということだ。「オムニチャネル」とは、消費者と企業の接点である ECチャネルとリアル店舗をシームレスに統合し、消費者へ購買の場を提供し、一方で、消費者購買行動データ取得の場とすることである。

データドリブン

 データ分析と聞くと、「これまでも POSデータで、購買データを取得してきた」と考えるかもしれない。だが大半の POSデータは、単なる販売データであり、あるアイテムが何月何日何時何分に何個売れましたというだけのデータだ。

 一方ECチャネルでは、配送が行われることから、消費者の名前、住所、電話番号、購買履歴が必ずデータ化される。場合によっては、誕生日、年齢、その他、消費者属性データを取得できる。これらのユーザーIDに紐づいた購買データを取得するのがデジタルマーケティングだ。

 また従来のポイントカードでも、リアル店舗や ECチャネルで、ある消費者がどういう購買を行ったかのデータを取得できるが、購買に至る過程で、消費者が「買おうかなあ、やっぱりやめようかなあ」と、どう逡巡して購買に至ったのかはわからない。

 一方、デジタルマーケティングでは、ECチャネルにおける各ページの滞在時間、ページ間移動履歴からどう逡巡していたのかを、AIを活用して分析する。リアル店舗においても、ビーコン(発信機)や顔認証システム、表情認識システムにより、ある消費者が、どういう動線で回遊し、商品を手に取り、レジに急いだのか、棚に戻したのかを分析する。購買に至るまでのプロセス=購買前行動を分析するのが、デジタルマーケティングなのだ。

 このように消費者のあらゆる購買行動がデータ化されていくと、

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