- 本書の概要
- 著者プロフィール
それは、日本がその強みと独自性を活かし、ロボット、自動運転、ブロックチェーンといった新しいテクノロジーを推進し、今後高齢化する世界に先駆けて人口減少・少子高齢化に対応できれば、社会・経済・文化的に日本が世界の最先端に躍り出ることができるからだ。
本書では、日本の歴史をひもとき、思想、政治経済、テクノロジー、イノベーション、経営、仕事、コミュニティ、教育など多岐にわたる分野からそのビジョンと道筋を描き、一人ひとりの生き方やマインドセットをアップデートする方法を明らかにする。日本の未来を憂える方はもちろん、今後の日本経済を背負う若手ビジネスパーソン必読の希望と行動の書として、ぜひご一読いただきたい。
1987年生まれ。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学学長補佐・准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤基盤長、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。ピクシーダストテクノロジーズCEO。2015年米国WTNよりWorld Technology Award 2015、2016年Ars ElectronicaよりPrix Ars Electronica、EU(ヨーロッパ連合)よりSTARTS Prizeなど国内外で受賞多数。
第1章 欧米とは何か
第2章 日本とは何か
第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか
第4章 日本再興のグランドデザイン
第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)
第6章 教育
第7章 会社・仕事・コミュニティ
おわりに 日本再興は教育から始まる
要約ダイジェスト
「西洋的な個人」の時代不適合性
今の日本は、自虐的な批評に飽きて自信を喪失し、過度に自信をつくろうとして「日本はすごい」と自画自賛するコンテンツばかりになってしまっている。まず大事なことは、「過去において日本は根本的に何がすごかったのか、何がすごくなかったのか」について我々の常識を更新しながら考えることだ。
日本の歴史と伝統を冷静に見つめていくと、欧州式の概念の中には、日本には合わないものも多いことがわかる。例えば「近代的個人」だ。日本が近代的個人を目指し始めてから150年以上経ったが、いまだに日本には「個人」によって成り立つ「国民国家」という感覚が薄いように感じる。むしろ個人に伴う孤独感のほうが強くなっているのではないだろうか。
そもそも、アジアは昔から、言語によって何かを分断する考えをよしとしない。荘子は個人と個人以外、対象と対象以外というように分断する行為は、世界が調和によって成り立っていた安定状態を破壊してしまう行為であると主張している。つまり、西洋思想の二分法の考え方は、アジア的な安寧に関する感覚、美的感覚や価値観と合わないのだ。
西洋的思想の根底に流れるものは、個人が神を目指す、全能性に近づいていく思想であり、つねに神と対時し、神に許しを請う思想だ。それに対して、東洋的思想とは、一言で言うと、自然だ。日本人は、