『大前研一 2018年の世界~2時間でつかむ経済・政治・ビジネス、今年の論点~』

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『大前研一ビジネスジャーナル』は、日本を代表する経営コンサルタント大前研一氏が、グローバルなビジネストレンドなどを解説する経営者限定セミナーを、誌上で再現する人気シリーズだ。本号はその特別編として、2017年の世界の「経済」「政治」「ビジネス」動向から「2018年の世界」を予測、企業と個人がどう対処すべきかを説いている。

 大前氏は 2017年は世界の「潮目が変わった年」であり、同時に日本が長期衰退することが明確になった年であるとしている。政治不安、世界的な金余り、中国経済の成長は続き、世界経済は米・中・EUの三極体制に移行しつつある。日本は今後の経済をけん引できるような“尖った人材”を育てる教育に舵を切るべきだが、それができても成果が出るまで20年はかかる。

 ある種絶望的ともいえる耳の痛い指摘が続くが、ヒントはやはり世界中の事例やデータの中にある。生き残れるのは“学び続け、変化できる者”である、という大前氏のメッセージとともに、現状から目を背けず世界的視野で考え続けることで、企業や個人がなすべきことが見えてくるはずだ。ビジネスパーソン、特に経営に携わる方は必読の一冊。

著者:大前研一(Ohmae Kenichi)
 株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長/ビジネス・ブレークスルー大学学長。1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。
 現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長及びビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。
Chapter.1 総論——「没落国家日本」がはっきりと位置付けられた
Chapter.2 2018年 世界の「経済」
Chapter.3 2018年 世界の「政治」
Chapter.4 2018年 世界の「産業」
Chapter.5 2018年の日本はどこへ向かうか
Chapter.6 2017年総括と2018年の見通し

要約ダイジェスト

世界全体に蔓延しつつある低欲望化傾向

 2017年を総括すると、「明確に潮目が変わった年」と言える。かねて私が述べている「低欲望社会(経済成長の頭打ちや様々な消費財のコモディティ化と普及など、複合的な理由によって消費行動が極端に萎縮した社会)」の現代日本だが、今や世界全体が低欲望社会化しつつあるという現象が見られ始めたことが 2017年の特色だと言ってよいだろう。

 世界中で低欲望社会化が広がっている理由は企業・産業も家計・消費も同じで、1つはお金のある先進国にはもう投資機会がないということ。もう1つは、新しい経済は ICT関連が多いため、昔のように大量に設備投資をする必要がなくなってきていることだ。19~20世紀の経済のような重厚長大の設備投資が要らないため、お金が余ってしまうのだ。

 政治情勢では、2016年も 2017年も政治リスクは世界各地にあったが、2018年は各地で独裁化の傾向が見られる。もともと国政選挙のない中国やサウジアラビアなどは仕方がないが、ロシアやトルコ、フィリピンにしても、よくこんな人を選んだな、という人が民主的に国家元首に選ばれて独裁化している。日本でも安倍晋三首相は民主的に選ばれているはずだが対抗馬のいない一強状態で、取り巻きによる“忖度”の限りが尽くされている。

 産業界に目を向けると、こちらも 2017年は大きく潮目が変わった年だった。デジタル・ディスラプション(技術革新による既存産業の創造的破壊)が結果を出し始め AIや IoTやビッグデータなどをフル活用した会社が高い時価総額を出すようになり、世界の時価総額トップ 10のうち7社がそういった会社だ。

 中でも中国企業の躍進は目覚ましく、米国と覇権を競う構図になっている。未上場で想定時価総額が 10億ドル以上の企業をユニコーン企業と呼ぶが、米国には 108社、中国には 58社もあるが、日本には数社(メルカリ、DMM.com、プリファード・ネットワークス)しかない。

 私は以前から「このまま行けば日本は、ポルトガルやスペインのように 400年衰退する」と言ってきたが、

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