『社会保障クライシス―2025年問題の衝撃』
(山田謙次/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 日本は世界的に見て、社会保障制度が充実しており、かつ税金も比較的安い国だ。だが、日本社会の安定性を担保してきた側面もあるこの2つの特長は、間もなく両立がむずかしくなるという。その要因は、高齢化社会に伴い社会保障負担額が急増すること、そして社会保障を支える財源確保の問題だ。本書では、高水準を維持してきた社会保障がこうした要因から、あとわずか10年、2025年頃には立ち行かなくなることを警告している。

 2025年には、人口ボリュームの大きい団塊の世代が 75歳以上の後期高齢者となり、医療費や介護費が大幅に増える。また、就職氷河期世代と呼ばれる現在の 30~40代半ばの世代は、本来であれば 2025年には社会保障を支える中核となるのだが、非正規雇用の人も多く、膨らむ社会保障を支えきれそうにないという。本書はこの問題を直視し、これから国民が受け入れるべきことや国がすぐに行うべきことを提案する。

 著者は野村総合研究所でコンサルティングを行いながら、社会保障やヘルスケアビジネスの近未来を考えることをミッションとする人物。社会保障という大きなテーマを扱いながら、論点は明確ですっきりとした解説がなされている。そのため、社会保障の細部がわからなくても理解しやすく、社会保障の歴史的経緯も合わせて知ることができる一冊だ。将来への準備という意味も込めて、ぜひご一読いただきたい。

著者:山田 謙次(Yamada Kenji)
 株式会社野村総合研究所コンサルティング事業本部/消費サービス・ヘルスケアコンサルティング部プリンシパル。東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。専門は社会保障研究、ヘルスケア分野における事業戦略策定支援。特に医療、介護、医薬、デジタルヘルスなどの領域。神戸大学大学院経営学研究科客員教授。著書に『2020年の産業』(共著・東洋経済新報社)。
序 章 10分でわかる「2025年問題」
第1章 社会保障の歴史的経緯と日本の問題
第2章 日本の社会保障を揺るがす「団塊の世代」
第3章 低所得と社会的孤立に苦しむ2025年の就職氷河期世代
第4章 2025年に日本の財政破綻リスクが表面化する
第5章 これから国民が受け入れなければならないこと

要約ダイジェスト

2025年問題

 毎日の生活や老後にぼんやりと不安を感じながらも、なんとか日々無事に過ごせている。これが、多くの日本人の実感ではないだろうか。その実感は、「今のところ」は間違っていない。意外かもしれないが、日本は世界の中でも充実した社会保障制度を持っている国のひとつだ。と同時に、世界の中でも税金が比較的安い国である。

 常識的に考えれば、高い社会保障水準と低い税金額の2つは両立しない。そして残念ながら、実際に両立しなくなる。現在、日本の社会保障制度は「社会保険」「公的扶助」「社会福祉」「保健医療・公衆衛生」の4つの柱で構成されている。2014年度の社会保障給付費は約112兆円で、同年度のGDPの22%の規模に相当し、日本の社会保障制度は先進国でも遜色のない水準に達していることがわかる。

 しかし、その社会保障制度がいよいよ破綻の危機に晒されているのだ。その最大の要因は、高齢者の増加だ。国の人口推計では、2017年に高齢化率は28%に達するとされ、

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