- 本書の概要
- 著者プロフィール
戦略コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーの調査によれば、それは「TIME(時間)」「TALENT(人材)」「ENERGY(意欲)」の3つだ。この3要素こそが企業の真の“希少資源”であり、組織の生産性はいかにそれらを戦略的に配分できるかにかかっている。だが、ほとんどの企業は資金を管理するほどの精緻さで人的資本を管理できておらず、さらに大企業病によってそれらをまったく活用できていないのだ。
本書では「やる気に満ちた社員の生産性は単に満足している社員の2倍」「31%の生産力は価値のない業務やミーティングのために失われている」といった衝撃的なデータを元に、会議や組織の効率化、最も重要な仕事を最も優秀な人材のオールスターチームで行うなど、具体的に時間・人材・意欲のマネジメント方法を解説。日本企業への提言も多く、組織生産性向上の最新知見を得たい経営・マネジャー層必読の一冊である。
ベイン・アンド・カンパニー サンフランシスコオフィスのパートナーであり、米州の組織プラクティスのリーダー。25年以上にわたり、企業が長期的な成長を遂げるための組織戦略の策定に携わっている。
エリック・ガートン(Eric Garton)
ベイン・アンド・カンパニー シカゴオフィスのパートナーであり、グローバルの組織プラクティスのリーダー。約20年にわたり、組織デザインや企業統合、コスト削減等のプロジェクトを手がけている。
監訳・解説:石川 順也(Ishikawa Junya)
ベイン・アンド・カンパニー 東京オフィスのパートナー。日本における組織プラクティスのリーダー。
西脇 文彦(Nishiwaki Fumihiko)
ベイン・アンド・カンパニー 東京オフィスのプリンシパル。日本における組織プラクティスのメンバー。
堀之内 順至(Horinouchi Junji)
ベイン・アンド・カンパニー 東京オフィスのプリンシパル。日本における組織プラクティスのメンバー。
翻訳:斎藤 栄一郎(Saito Eiichiro)
主に情報通信やビジネス・経営分野の翻訳に従事。主な訳書に『ビッグデータの正体』(ビクター・マイヤー=ショーンベルガー他著)、『THINK LIKE ZUCK マーク・ザッカーバーグの思考法』(エカテリーナ・ウォータ著)、『マスタースイッチ』(ティム・ウー著)など。
プロローグ 本当に希少な経営資源
第1章 組織の生産力を最大限に引き出すには
PARTⅠ TIME[時間]
第2章 組織の時間を取り戻せ
第3章 オペレーティングモデルの簡素化
PARTⅡ TALENT[人材]
第4章 「違いを生み出す人材」を見つけて育てよ
第5章 オールスターチームの編成・配置
PARTⅢ ENERGY[意欲]
第6章 社員のやる気を奮い立たせる
第7章 「勝てる文化」を醸成せよ
エピローグ
日本企業への示唆
要約ダイジェスト
本当に希少な経営資源
戦略とは、経営資源の配分という技であり、知である。経営陣の仕事は突き詰めれば戦略づくりにほかならず、有能なリーダーは、組織の貴重な経営資源の配分に長けているから、ライバルに勝てるのだ。
過去50年近くにわたって企業経営者のいちばんの悩みは資金繰りだったが、今や資金はふんだんにあり、その調達コストも安い。資金の配分はもはや競争力の源泉にはならない。いま、本当に希少な経営資源は、「時間」「人材」「意欲」だ。
時間、人材、意欲の管理がずば抜けている優良企業と、それ以外の企業(下位4分の3)の間には雲泥の差がある。企業全体のうち上位4分の1は、下位4分の3の平均と比べて、生産力が40%も上回っているのである。営業利益率に換算すれば、多くの場合、業界平均より30~50%も高くなる。
資金の管理に関しては、各社ともハードルレート(目標とする利益率)を設定していて、新規投資に当たっては採算性について説得力のある説明が必要とされる。ところが、本当に希少な経営資源である時間、人材、意欲に関して、同等の厳格さを持って管理できている企業はあまりに少ない。
TIME[時間]
ほとんどの企業では、組織の時間に関しては野放し同然だ。電話、メール、メッセンジャー、会議、電話会議に経営幹部が毎日何時間も費やしているにもかかわらず、こうしたやり取りを取り締まるルールは皆無に近い。ほとんどの企業は、