- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書は、同社の働き方改革がどのように進められたかを詳しく解説した一冊だ。改革前の社内状況、プロジェクト始動後の社員の反発など、企業としては見せづらい部分も赤裸々に公開されており、自社の状況と照らし合わせて、思わず共感してしまう読者も多いだろう。同時に、そのような状況を根本的に変えない限り、これからのビジネス環境において生き残っていける会社にはなれないことが実感できるはずだ。
著者は 2015年よりアクセンチュア株式会社 代表取締役社長を務め、就任直後からアクセンチュア流の働き方改革「プロジェクト・プライド」を推進した江川昌史氏。体力勝負になりがちな体育会系のカルチャーを否定し、生産性向上を社内に粘り強く求めていく姿勢からは、今後の会社の成長や方向性を考える際の示唆が多く得られるはずだ。経営やマネジメント、人事部門を担う立場の方はぜひご一読いただきたい。
アクセンチュア株式会社代表取締役社長。1989年慶應義塾大学商学部卒業、同年アクセンチュアに入社。製造・流通業界を中心としつつ、通信、ハイテク、素材・エネルギー、金融業界や公共サービス領域など、多岐にわたるお客様のプロジェクトを指揮。主に、戦略立案、構造改革、新規事業立ち上げ、デジタル変革、大規模アウトソーシングプロジェクトなど、さまざまな領域の案件を主導した。
2000年にパートナー就任。消費財業界向け事業の日本統括を歴任し、2008年10月に執行役員〔製造・流通本部統括本部長〕に就任。2014年12月に取締役副社長就任、2015年9月に現職である代表取締役社長に就任。経済同友会会員。
Chapter.2 改革までのロードマップと体制づくり
Chapter.3 『プロジェクト・プライド』本格始動!
Chapter.4 「制度」と「意識」の両輪で働きかける
Chapter.5 働き方改革で次なる成長ステージへ
解説編 『プロジェクト・プライド』の示唆
要約ダイジェスト
カルチャーを変えなければ、次のステージはない!
アクセンチュア日本法人では、組織の課題を把握する社内の意識調査において、昔から思わしくない結果が出ていた。特に気になったのが「プロにふさわしくない振る舞い」「非現実的な指示」などの項目で、これらはすべて“体育会的な”カルチャーに立脚するものだった。
このようなカルチャーのもとでは、ダイバーシティは実現しにくく、働き方も変えられない。さらに、採用の現場で当社のイメージは、極めて厳しい状態にあった。例えば、面接では応募者から決まって「社員はいつも、何時頃に帰っているのでしょうか?」という質問を受けていたようだ。とりわけ女性に関しては、優秀な人材を得ても、「長くは続けられない」と退職していくことも多かった。
スピードと量でお客様から信頼を得てきた過去の成功例から、多くの社員が「お客様の期待に応えるには遅くまで働くしかない」「長く働ける人はよい仕事がたくさんでき、出世も早い」という誤ったサイクルを思い描き、