『2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!』
(ジャック・アタリ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 世界では、政治経済の両面で日々多くの変化が起こっており、それが吉と出るか凶と出るかは誰にもわからない。ただし、ある程度の予測を持っておくことは不測の事態に対処するための賢明な方法であり、そのため未来予測に関する本は毎年数多く出版されている。だが、ネガティブで破滅的な未来については、それが示されていたとしても、なかなか受け入れられないのもまた人間の性である。

 本書において、著者で「欧州最高の知性」とも呼ばれるジャック・アタリ氏は、ネガティブな未来予測を読者に真正面から突き付ける。それは著者曰く、そうした未来を直視することからしか、最悪の事態を回避する手段を見つけることができないからである。本書で著者は、格差と利己主義の蔓延によって、世界がやり場のない「怒り」に満たされ、人類は最悪の結末を迎えると予測。それを避けるために、一人ひとりが利他主義的価値観を復活させ、世界を変革するためにやるべきことを情熱的に語りかける。

 ジャック・アタリ氏は、フランスで大統領顧問や欧州復興銀行の初代総裁などの要職を歴任し、政治・経済・文化に精通する人物。健康、教育、労働、住宅、農業、自動車、エネルギー、娯楽、共有経済など、あらゆる分野の未来を好悪両面から網羅的に解説しているため、世界の政治経済が向かう先を見通すには最適の一冊だ。未来を嘆くのではなく、主体的によりつくっていきたいと考える多くの人にご一読いただきたい。

著者:ジャック・アタリ(Jacques Attali)
 1943年アルジェリア生まれ。フランス国立行政学院(ENA)卒業、81年フランソワ・ミッテラン仏大統領特別補佐官、91年欧州復興開発銀行の初代総裁など要職を歴任。政治・経済・文化に精通し、ソ連の崩壊、金融危機、テロの脅威、ドナルド・トランプ米大統領の誕生などを的中させた。著書は『21世紀の歴史』『金融危機後の世界』『国家債務危機―ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?』『危機とサバイバル―21世紀を生き抜くための<7つの原則>』(いずれも作品社)、『アタリの文明論講義:未来は予測できるか』(筑摩書房)など多数。

翻訳:林 昌宏(Hayashi Masahiro)
 1965年名古屋市生まれ。翻訳家。立命館大学経済学部卒業。訳書にジャック・アタリ『21世紀の歴史』、ダニエル・コーエン『経済と人類の1万年史から、21世紀世界を考える』、ポリス・シリュルニク『憎むのでもなく、許すのでもなく』他多数。

日本の読者へ
Introduction
第一章 憤懣が世界を覆い尽くす
第二章 解説
第三章 99%が激怒する
第四章明るい未来
謝辞
訳者あとがき

要約ダイジェスト

混沌へ向かうわれわれの歴史

 古今東西にわたり、人類は未来を予測しようと、さまざまな方法を用いてきた。ところが、われわれは未来予測の結果を直視したがらない。また、誰もが死にゆく存在であるのに、これを正視しようとする者は少ない。多くの者たちは何も予測したくないのだ。

 すなわち、予測するという行為の最大の敵は怠慢なのだ。怠慢であるがために、すべては予定調和で終わり、最悪の事態は訪れないというように、未来を自分に都合よく考える。だが、「起きるわけがない」と決めつけても、どんなことでも起こりうる。そうした最悪の事態を予測することこそが、最悪を回避する最善の手段だ。

 何の対策も講じなければ、2030年までに津波のような破局が訪れるのは間違いない。われわれが現実に体験するであろうことを要約すると、次の通りだ。世界中で、自由を名目に市場のグローバル化が容認された。つまり、マネーが社会を支配することが放置された。そのような社会では、すべての価値は価格で表示され、エゴイズムと貪欲さだけが掟となり、裏切りと破壊が横行する。
 
 すなわち、本来であれば世の中に意味を付すはずの、マネーとは異なる倫理や行動規範はお払い箱になる。ところが、個人ならびに社会全体に安全や自由をもたらすはずの法律がグローバル化されることはない。こうして世の中は、

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