- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書では、データの中にある「ストーリー」に着目し、それを明確に相手に伝え、意思決定を促すことができる資料づくりを6つのステップに分けて解説。著者は「ひどいパワーポイントスライドをこの世からなくす」をミッションに、Googleで「データビジュアライゼーション」研修を開発・展開してきた人物。図表の実例やモデルケースを使い、伝え方のプロならではの実践的スキルと理論が、わかりやすく説明されている。
社会人にとって、データを使ったコミュニケーション方法を体系的に学ぶ機会は実は少ない。フォントや色を使いすぎたり、見づらいグラフや意図が伝わらないスライドをつくってしまったことのある方、スライドづくりに苦手意識を持つ方は、ぜひ本書でコツを身につけていただきたい。特定の業界や職種に限らず、どんな分野でも応用できるデータコミュニケーションの基本スキルを体系的に理解できるはずだ。
銀行やプライベートエクイティでの分析業務で活躍後、Googleに入社。Googleに約5年間在籍し、「ビジュアライゼーション」の講座を担当、世界各国のGoogleで教えてきた。ただのデータを「情報」に変え、本質を見抜き、アクションへとつなげる手法を説く。ワシントン大学で応用数学の学士とMBAを修得。2013年、Google退社。ブログ storytellingwithdata.comを立ち上げ、人気を博す。「ひどいパワーポイントを世界からなくす」をミッションに、企業や非営利団体でビジュアルコミュニケーションの研修やワークショップを行なう。
訳者:村井 瑞枝(Murai Mizue)
株式会社キルン代表取締役。世界トップクラスのアートスクールで学び、JPモルガン、ボストンコンサルティンググループにてキャリアを積んだ異色のコンサルタント。辻調理師専門学校にて調理師免許取得後、米国ブラウン大学に入学、アートを専攻する。在学中、イタリアボローニャ大学、「美大のハーバード」と呼ばれる Rhode Island School of Design(RISD)に姉妹校留学し、アートを学ぶ。大学卒業後は、JPモルガンを経て、ボストンコンサルティンググループにアソシエイトとして入社。約 10,000枚以上のプレゼン資料を作成し、図解技術を習得。訳書に『ウォールストリート・ジャーナル式 図解表現のルール』(かんき出版)、著書に『図で考えるとすべてまとまる』(クロスメディア・パブリッシング)など。
イントロダクション
第1章 コンテキストを理解する
第2章 相手に伝わりやすい表現を選ぶ
第3章 不必要な要素を取りのぞく
第4章 相手の注意を引きつける
第5章 デザイナーのように考える
第6章 モデルケースを分解する
第7章 ストーリーを伝える
第8章 さあ、全体をまとめよう
第9章 ケーススタディ
第10章 最後に
要約ダイジェスト
コンテキストを理解する
より多くのデータを集められるようになっている現在、データを可視化し、ストーリーを語る能力は、よりよい意思決定を導くための鍵だ。耳を疑うかもしれないが、データをうまくビジュアル化する秘訣は、いきなりデータにふれないことだ。作業を始める前に、まずコミュニケーションをとることになったコンテキスト(文脈・背景)を理解する必要があるのだ。
明確にしておきたいのは、「誰に伝えるのか」「相手に知ってもらいたい、またはやってもらいたいことは何か」の2つだ。そうして初めて「主張を伝えるために、どのようにデータを活用するか」について考えることができるのだ。
コミュニケーションの意図を理解し、何が最も重要で、何が省略できるものかを把握するおすすめの方法に、「3分ストーリー」と「ビッグアイデア」がある。3分ストーリーは、3分しかなかったら、相手に何を伝えるか?というものである。ビッグアイデアは3分ストーリーをさらに簡潔に1文でまとめたものだ。明確かつ簡潔にストーリーを述べることができたら、