『「誘う」ブランド ―脳が無意識に選択する。心に入り込むブランド構築法』
(ダリル・ウェーバー/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 現代は、企業も個人もブランディングが重要な時代だ。特に大企業は、人々の心に自社製品やサービスのブランドを根付かせるために、日夜大量の資金や労力をつぎ込んでいる。しかし、ブランドは目に見えない連想やイメージであるため、戦略的な打ち出しが難しいのもまた事実だ。本書はそんなブランディングの福音となるべく、最新の脳科学研究から、科学的に正しいブランド戦略に迫った一冊だ。

 本書では、無意識的な連想のネットワークである「ブランド・ファンタジー」の理論が提唱されている。ブランド・ファンタジーは、気がづかないうちに私たちの意思決定に大きな影響を及ぼし、アップルやコカ・コーラといった顧客を強く惹きつける企業は、魅力的なブランド・ファンタジーを持っているという。本書では、こうしたブランドと脳の結びつきを多数の研究成果や事例から解明し、それを踏まえたブランド・ファンタジーの構築方法を述べる。

 著者のダリル・ウェーバー氏は、コカ・コーラ社のクリエイティブ戦略担当グローバル・ディレクター出身で、コカ・コーラやナイキ、ジョニー・ウォーカー、ゲータレード、パンパースなど、世界的企業のブランディングに影響を与えたことで知られるブランド戦略の専門家。新製品・サービス開発にも役立つ知見が多く、マーケティング担当者はもちろん、事業責任者や経営者層にもぜひご一読いただきたい。

著者:ダリル・ウェーバー(Daryl Weber)
 ブランド戦略コンサルタント。コカ・コーラ、ナイキ、ジョニー・ウォーカー、ゲータレード、パンパースなど、世界で最高かつ最大のブランドの多くに影響を与えてきた。かつてはコカ・コーラ社でクリエイティブ戦略を担当するグローバル・ディレクターを務め、10億ドル級のブランドのブランディングやコミュニケーション戦略を統括。
 それ以前には、小規模専門会社向けのブランディングとイノベーションのコンサルティング会社、レッドスカウトの戦略部長として、フォーチュン100(グローバル企業の総収入ランキングトップ100)入りした企業に、新商品イノベーションやブランド・ポジショニングに関するアドバイスをした経験もある。コロンビア大学で心理学を専攻し、学士号を取得。現在はアトランタで、妻ジェニファーと息子アヴィと一緒に暮らしている。

翻訳:手嶋由美子

序章 心の底にあるブランドの世界
第1部 脳とブランドの結びつき
 第1章 美は見る者の脳にある
 第2章 注目されているだろうか?
 第3章 覚えているだろうか?
 第4章 感情的になる
 第5章 決断、決断
第2部 ブランドの新しいモデル
 第6章 かっこよさを捉える―なぜブランドについての新しい考え方が必要なのか
 第7章 ブランド・ファンタジー・モデル―形のないものを(ある程度)形にする
 第8章 ブランド・ファンタジーの実践―ケーススタディ
第3部 魅惑的なブランドを構築する
 第9章 ブランドのバケツを満たす
 第10章 無意識に訴える
 第11章 無意識を探る
 第12章 無意識に向けたイノベーション

要約ダイジェスト

心の底にあるブランドの世界

「テーブルにバンと置くことができる。そう説明するのが一番だ」、必死に言葉を探した挙げ句、ロサンゼルス在住の26歳の男性はお気に入りのウオッカ・ブランド、ケテルワンが特別である理由をこう言い表した。さらに、目に見えないボトルをバンと置くように、拳をテーブルに打ちつけて見せた。

 彼だけではなく、アメリカ市場全体を対象にした一連のフォーカス・グループ(ある製品に関して集められたユーザーグループのこと)研究で、若い男性の多くが最終的には同じ動作で説明した。ここでは、会話によって、高級ウオッカの二大ブランド、グレイグースとケテルワンの違いの分析を試みていた。

 私の仕事は、最近のケテルワンが急成長した原因を解き明かすことだったが、困ったことに、決まってケテルワンを購入する男性たちでさえも、その理由がわかっていない。ただ「好みだから」とか、

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