- 本書の概要
- 著者プロフィール
AIは大きく社会を変化させうる技術だが、いまだ限界があり、ビジネスに役立てるためには、担当者や経営者の工夫と知識が不可欠だ。そこで本書の前半では、曖昧に理解されていることが多い AIと IoT(モノのインターネット)、ビッグデータの関係や、AIが社会にもたらすインパクトなどの基本事項を丁寧に解説。後半では 産業や業種ごとに異なるビジネス現場での AI活用例や活用戦略、それによって私たちの仕事がどのように変わるのかを明らかにする。
著者らは株式会社 NTTデータで AIソリューション開発を担当し、400以上のプロジェクトに携わってきた専門家。AIが従来の ITシステムと違うのは、導入したらすぐに最適化できるものではなく、目的に沿って育成する必要があることだという。人材育成と同様に、試行錯誤しながら育てていけるかどうかが、成功の鍵になるのだ。これから AIの導入を検討している方、AIとは何かを初歩的から学びたい方はぜひご一読いただきたい。
株式会社 NTTデータ 技術開発本部エボリューショナル ITセンタ AIソリューション開発担当 課長。21世紀政策研究所 研究プロジェクト「人工知能の本格的な普及に向けて」委員。2002年名古屋大学大学院工学研究科修了。同年株式会社 NTTデータ入社。同社の R&D部門にて音声認識やテキスト処理に関する AIの研究開発に従事。2012~2015年は世界の趨勢を分析・発信するNTT DATA Technology Foresightを策定。
著者:城塚 音也(Shirotsuka Otoya)
株式会社 NTTデータ 技術開発本部エボリューショナル ITセンタ AIソリューション開発担当 部長。NTTデータ エグゼクティブ R&Dスペシャリスト。名古屋大学非常勤講師。1988年東京大学文学部言語学科卒業。同年日本電信電話株式会社入社。1989年よりNTTデータ通信株式会社(現株式会社 NTTデータ)にて音声対話システムやテキストマイニング等の AI技術の研究開発に従事。1990~1991年米国スタンフォード研究所客員研究員。
2章 AIの基礎知識
3章 AIにより変わる産業
4章 AIにより変わる私たちの仕事
5章 ビジネスを加速するためのAI戦略
6章 AIの活用ポイントと法的課題
7章 AIブームはもう終わる
要約ダイジェスト
4つの AI活用——AIがもたらす付加価値とは
AIを「何でも回答してくれる魔法のコンピューター」と考えるとビジネスでの成功は難しい。現状のAIには人間ほどの柔軟性はなく、人間を超える能力を持たせるには莫大な投資が必要なのだ。しかし、人間ほどの能力を持たずとも、ビジネスに大きな変革をもたらすことができるのも AIだ。バーチャル空間からリアル空間(環境、インフラ、モノ、生体)へ適用先が拡大していく中で、AIをビジネスに活用していくには大きく分けて4つの方向性が存在する。
1.既存業務の効率化や高度化
今まで人が対応していた業務を AIで置き換えたり、アシストしたりする。現在の AIは言葉やその意味を正確にとらえることは苦手だが、膨大な情報を記憶したり、