『技術は戦略をくつがえす』
(藤田元信/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
『孫子』に代表される戦略書や戦史を愛読する経営者は多い。それは戦争における戦略と企業経営における戦略に相通じる部分があるからだ。本書は、そのなかでも「技術」と「戦略」の関係にフォーカスを当て、特に19世紀以降の近現代戦において兵器(≒技術)が、いかに戦略に影響を与えてきたのかを解き明かす異色のビジネス書である。

 著者は、優れた戦略の鍵は「非対称性(モノや条件が当事者間で対等でない状態)」をつくり出すことにあり、その非対称性をつくり出すのが技術であるとする。永遠、普遍的に有効な戦略はないことは歴史が証明しているが、それは技術がキャッチアップされたり、対抗策が編み出されることで、非対称性がなくなるからなのだ。

 それゆえ、組織のリーダーは技術、テクノロジーへの理解が必須であり、それは現代のビジネスにおいても同じだと言える。著者は元陸軍将校の祖父を持ち、東京大学工学部、同大学院を経て防衛省技術研究本部に入省、現在は防衛装備庁技術戦略部に勤務する現役技官。新商品や新技術を生み育て、素早く取り入れられる組織を目指す経営幹部層はぜひご一読いただきたい。新たな観点から、自社の戦略を見直すことができるはずだ。

著者:藤田 元信(フジタ モトノブ)
 1979年愛媛県北宇和郡三間町(現宇和島市)生まれ。愛光学園高校卒。元陸軍将校の祖父から大東亜戦争での経験談を聞き、技術の優劣こそが生死を分けることを学ぶ。6歳からはじめた模型づくりで、世界各国の兵器213種類を手がけ、システムコンセプトの差異や開発史に興味を持つ。世界初のミサイル技術者であるフォン・ブラウン博士に憧れ、システムズエンジニアリングを学ぶため東京大学に入学。東京大学工学部計数工学科(計測コース)及び大学院情報理工学系研究科で、システム情報学を専攻。現在、防衛装備庁技術戦略部に勤務。PMP(米国PMI認定)、博士(情報理工学)。
序章 戦略と技術について
第1章 戦略の「常識」はいつも「技術」によってくつがえされてきた
第2章 新技術の強みを生かし、既存戦略をくつがえす
第3章 既存技術の新たな使いみちを見つけ、既存戦略をくつがえす
第4章 既存戦略をくつがえす技術を生み出した技術者と組織
第5章 戦争が生み育てた技術の「その後」

要約ダイジェスト

技術を知らなければ戦いに勝てない時代

 技術は、既存の戦略をくつがえす力を持っている。戦争の歴史に照らせば、技術の時代における優れた戦略とは、「自らの技術の利点を最大限に引き出す戦略」である。技術を用いて戦う以上、技術への理解なくして、戦略を立てられないといっても過言ではない。

 一方、戦略にとって、優れた技術とは、「既存戦略の有効性を無力化した技術」と考えることができる。実現可能な段階に達した技術に、新戦略によって新しい使い道が与えられ、破壊的な変化をもたらした場合、優れた技術として称賛される。

 多くの歴史家が認めているように、永遠に続く勝利はなく、

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