『魂の経営』
(古森 重隆/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次(主要)
 デジタルカメラの台頭によってフィルムメーカーとしての「本業消失」の危機を、10年におよぶ経営改革で乗り越えた富士フイルムHD代表取締役会長兼CEO古森氏が、その経験から学んだリーダーシップと経営論を語った一冊。

 近年のフィルム業界に起こった構造変化は”すさまじい”の一言に尽きる。デジタル化の波により写真フイルム市場が10分の1に縮小するという文字通りの「本業消失」、さらにリーマン・ショック、円高、東日本大震災、タイの洪水…富士フイルムはいかにしてこれらの危機を乗り越え、「第二の創業」を成し遂げたのか。

 ほぼすべての業界にとって「デジタル化」は避けがたい脅威であり、この改革劇に学ぶ点は多いはずだ。そして、『やるべきことを断固としてやる』という著者の仕事へのスタンスは、経営論としても人生論としても爽快な読後感がある良書である。

著者:古森 重隆(コモリ シゲタカ)
 富士フイルムホールディングス代表取締役会長兼CEO。1939年旧満州生まれ。63年東京大学経済学部卒業後、富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)に入社。印刷材料や記録メディアなどの部門を歩み、96年~2000年富士フイルムヨーロッパ社長。2000年代表取締役社長、03年代表取締役社長兼CEO。デジタル化の進展に対し経営構造改革を断行し、液晶ディスプレイ材料や医療機器などの成長分野に注力。業績をV字回復させる。12年6月から代表取締役会長兼CEO。
第1章 本業消失 富士フイルムに何が起こったのか?
第2章 第二の創業 富士フイルムの挑戦と改革の全貌
第3章 有事に際して経営者がやるべきこと
第4章 すべては戦いであり負けてはならない 世の中のルールと勝ち残るための力
第5章 会社を思う気持ちが強い人は伸びる 仕事で成果を出し、成長を続けるための働き方
第6章 グローバル時代における日本の進路 国と企業の強みと可能性について

要約ダイジェスト

富士フィルムに何が起こったのか

 私が社長に就任した2000年、富士フイルムの主力事業だったカラーフィルムなどの写真感光材料の売上がピークを迎えた。しかしビジネスの世界では、絶頂のときにこそ危機が忍び寄って来ている。

 その少し前からデジタルカメラが急激な普及を見せ、10年後には写真フィルム市場の世界総需要はかつての10分の1以下にまで落ち込んだ。2012年、長年のライバルであったコダックは、米国連邦破産法11条の適用を申請した。

 かたや富士フイルムは、時代の変化に飲み込まれず、今もさらなる進化を続けている。社長就任以来、私が取り組んできた富士フイルムの改革とは、「第二の創業」であった。危機的な状況の中で、リーダーとして、何をどう決断し、実行したのかを振り返りたい。

富士フイルムの挑戦と改革の全貌

 まず取り組みを進めたのが、企業改革計画の策定だった。本業の市場縮小が進む中、今後会社が進むべき方向と、そのためにやるべき実行計画を考え、社員たちに伝える必要がある。そこで三つの基本方針を打ち出した。

 一つ目の基本方針は「経営全般にわたる徹底的な構造改革」である。当時富士フイルムは、日本、米国、オランダの三ヵ所に大規模な工場を抱えており、ひとたび売上が落ち込み始めると、止めどもなく赤字が膨らんでいく。

 リストラをするとなれば、当然反発も起きる。しかし、会社がつぶれてしまえば、それこそ何も残らないことになり、

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