『イノベーターたちの日本史』
(米倉誠一郎/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 グローバリゼーションやAIの台頭など日本企業が対応を迫られている問題は多いが、大政奉還や欧米列強の外圧など、社会構造の大変化のただ中にあった明治維新前後の日本も似た状況にあった。では当時の日本人はどのような難題にぶつかり、どうやって日本を近代国家として生まれ変わらせたのか。そこには多数のイノベーターたちの極めて優れた「創造的対応(creative response)」があったという。

 本書は、明治・大正・昭和の日本の近代化をイノベーションを軸に描く異色の経済史として、高島秋帆、大隈重信らの旧幕閣、維新官僚や、笠井順八(小野田セメント)、三野村利左衛門(三井財閥)、岩崎弥太郎(三菱財閥)、高峰譲吉・大河内正敏(理研)といった経済人の独創的な軌跡を追い、著名な人物から歴史に埋もれた偉人、財閥やいわゆる「士族の商法」、近年世間を騒がせた理研の歴史的意義などに新たな光を当てる。

 著者は経営学者として一橋大学イノベーション研究センター特任教授、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授などを務め、イノベーションやベンチャー・NPO経営などにも造詣が深く、多くの経営者に支持される米倉誠一郎氏。紹介される多数のエピソードは経営の示唆に満ちており、歴史好きをも唸らせる内容となっている。

著者:米倉 誠一郎(ヨネクラ セイイチロウ)
 一橋大学イノベーション研究センター特任教授、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授。1953年東京都生まれ。一橋大学社会学部、経済学部卒業。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。ハーバード大学歴史学博士号取得(Ph.D.)。1995年一橋大学商学部産業経営研究所教授、97年より同大学イノベーション研究センター教授。2012~14年はプレトリア大学 GIBS日本研究センター所長を兼務。
 現在、Japan-Somaliland Open University 学長、アカデミーヒルズ日本元気塾塾長、『一橋ビジネスレビュー』編集委員長を兼務。2017年4月より現職。イノベーションを核とした企業の経営戦略と発展プロセス、組織の史的研究を専門とする。主な著作に 『経営革命の構造』(岩波新書)『創発的破壊―未来をつくるイノベーション』(ミシマ社)、『オープン・イノベーションのマネジメント』(共編、有斐閣)など。
第1章 近代の覚醒と高島秋帆
第2章 維新官僚の創造的対応―大隈重信 志士から官僚へ
第3章 明治政府の創造的対応―身分を資本へ
第4章 士族たちの創造的対応―ザ・サムライカンパニーの登場
第5章 創造的対応としての財閥―企業家が創り出した三井と三菱
第6章 科学者たちの創造的対応―知識ベースの産業立国
終章 近代日本の創造的対応を振り返る

要約ダイジェスト

近代日本の「創造的対応」

 日本の近代は西欧先進国から押し寄せる津波のような外生的挑戦や刺激に、いかに創造的に対応していくかという歴史だった。「創造的対応」という言葉は、「イノベーションの父」とも呼ばれるオーストリア人学者ヨゼフ・A・シュムペーターが用いた概念だ。

 この観点から明治維新を考察すると、幕末期から明治にかけての日本人の優れた対応能力には感心する。特に、隣国中韓の対応と比較したときに、植民地化の危機に対して徳川幕府は「通商和平」をもってのらりくらりと対応し、

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