- 本書の概要
- 著者プロフィール
意味のイノベーションは、ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授によって提唱され、仕様やパッケージではなく商品の「意味」を変えることで、その価値を高める。例えば、「照明」という意味では電球などに代替されたロウソクが今なお残っているのは、食卓で特別のときに灯す、といった新たな意味を獲得したからである。本書では、欧州のデザイン史もひもときながら、その具体的手法をわかりやすく解説する。
技術革新によるイノベーションには莫大な予算や時間がかかる。それゆえに意味のイノベーションは、中堅・中小企業も取り入れやすい実践的なものといえるだろう。ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活躍する安西洋之氏、立命館大学経営学部教授で同大学デザイン科学研究センター長の八重樫文氏の共著により、理論的かつ実践的な内容となっている。
モバイルクルーズ株式会社代表取締役。いすゞ自動車に勤務後、1990年よりミラノと東京を拠点としたビジネスプランナーとして多くのデザインプロジェクトに参画。また、異文化理解アプローチ「ローカリゼーションマップ」を考案し、執筆や講演等の活動を行う。著書に『世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『イタリアで、福島は。』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヨーロッパの目 日本の目』(日本評論社)。共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?』(日経BP社)。毎週、Sankei Bizにコラム「安西洋之のローカリゼーションマップ」を連載。
「ローカリゼーションマップ」 http://www.localizationmap.com/
八重樫 文(ヤエガシ カザル)
立命館大学経営学部教授、立命館大学デザイン科学研究センター長。武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。デザイン事務所勤務、武蔵野美術大学助手、福山大学専任講師、立命館大学准教授を経て現職。2015年度ミラノ工科大学DIG(Dipartimento di Ingegneria Gestionale:経営工学研究所)客員研究員。専門はデザイン論、デザインマネジメント論。著書・訳書に『デザイン・バイ・マネジメント』(共著、青山社)、『デザイン・ドリブン・イノベーション』(監訳/訳、クロスメディア・パブリッシング)など。
第2章 ヨーロッパはこう動いている
第3章 あらためて、ビジネスにおける「デザイン」とは?
第4章 意味を変える戦略―「デザイン思考」と「デザイン・ドリブン・イノベーション」
第5章 「意味のイノベーション」を実践するには
終章 デザインだけではない、ビジネスにイノベーションを起こす試み
要約ダイジェスト
「技術を売りにしない中小企業」のイノベーション
2010年、EUは 10年計画の 6つの重要なプロジェクトの 1つにイノベーションの推進を掲げ、その実行にあたっては、デザインの考え方を官民ともに定着させることで、あらゆる分野とレベルでイノベーションを実行するのに適切な土壌をつくり始めた。
EUのイノベーション政策では、デザインの導入にあたっては、「デザイン思考」「ユーザー中心デザイン」「デザイン・ドリブン・イノベーション」の 3つのアプローチを重視する。まず、デザインの考え方やプロセスをデザイナーではないビジネスパーソンにも適用できるように体系化したのが、