- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書で著者は、自身の経営には何の秘密もないとして、唯一の経営の秘訣は、「本を読むときは、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれと逆で、終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをする」ことだと語る。当たり前のことのように聞こえるが、厳しい環境下でこれを実践し続けることがいかに難しいかは想像に難くない。本書ではそれを徹底できる経営者、組織をつくる方法を説いている。
しかもそれは組織論やマネジメント理論を踏まえつつも、地に足のついた実践論と言えるものだ。一読すれば、著者の経営哲学の底に流れる、徹底した現場主義や成果主義、精神力に驚かされ、猛省を促されるはずだ。原著は1985年の初版だが、内容はまったく古びておらず、本書には柳井氏の経験を踏まえたわかりやすい解説も付されている。現状打破を願う全てのビジネスパーソンにぜひご一読いただきたい。
英国ボーンマス生まれ。ニューヨーク証券取引所のボーイから、図書の訪問販売、新聞の広告営業、会計事務などを経てジョーンズ・アンド・ラフリン社、レイシオン社で企業経営に参加参画。1959年、ITTの社長兼最高経営責任者に就任。アメリカ企業史上空前の記録“14年半連続増益”という金字塔を打ち立てた。17年間の就任中に買収・合併・吸収した会社はエイビス・レンタカー、シェラトン・ホテル、ハートフォード保険会社はじめ 80か国に所在する 350社に及ぶ。ジェニーン引退後グループは解体。
編者:アルヴィン・モスコー(Alvin Moscow)
AP通信記者を経てジャーナリスト。本書の他、代表作に『ロックフェラー家の継承』『ニクソン回顧録』等があり、15の著作のうち 7作がベストセラーとなる。
翻訳:田中融二(タナカ ユウジ 1926~1998)
主な訳書に『GMとともに—世界最大企業の経営哲学と成長戦略』『ピーターの法則—創造的無能のすすめ』がある。
第 1章 経営に関するセオリー G
第 2章 経営の秘訣
第 3章 経験と金銭的報酬
第 4章 二つの組織
第 5章 経営者の条件
第 6章 リーダーシップ
第 7章 エグゼクティブの机
第 8章 最悪の病——エゴチスム
第 9章 数字が意味するもの
第10章 買収と成長
第11章 企業家精神
第12章 取締役会
第13章 気になること——結びとして
第14章 やろう!
付録 「創意」と「結果」7つの法則(柳井正)
要約ダイジェスト
経営の秘訣
人びとは経営決定への安易な、組織化されたアプローチを求めて、理論や固定した方式に寄りかかりすぎる傾向がある。これまでおおぜいの人からビジネスに成功した秘密をたずねられたが、たいていの場合、私は答えるのを避けた。しかし、