『向上心 ―自分の人生に種を蒔け!』
(サミュエル・スマイルズ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 自己啓発書は日々多くの新刊が出されているが、「これ」という本に出会うことは難しい。そんなときに高確率で良書に出会えるのが、長く読み継がれてきた古典的名著だ。年月を経ても生き残った古典には、良質で普遍的な教えが豊富に含まれているからだ。

 19世紀イギリスの著述家、サミュエル・スマイルズによる本書は、日本では明治時代に翻訳され、当時の大ベストセラーである同著者の『自助論』や福沢諭吉の『学問のすすめ』などとともに多くの人々を発奮させた。本書において著者は、人間にとって最高の人生とは何かを問い、高潔な人格や生き方、そして「自己修養」の重要性を繰り返し説く。

 そこで描かれる人間像は、イギリス最盛期を支えた勤勉なジェントルマンの理想的人格を具体的に表したものだという。約 150年前の著作だが、まるで現代の名経営者や尊敬されるリーダーについて書かれているかのような、その内容に驚かされるはずだ。強い国家や組織、大きな仕事の陰には常に優れた人格があるのだ。

 AIやテクノロジーの進歩によって、労働や人生の目的が揺らいでいる。だがむしろ、変化が激しく、SNSで評判がすぐに拡散される現代だからこそ、不変の人間観と「向上心」で自己鍛錬を続け、誠実に生きることの価値は増している。その意味では訳者の竹内均氏が言うように、本書ほど現代の日本にふさわしいものはない。ぜひご一読いただきたい。

著者:サミュエル・スマイルズ(Samuel Smiles)
 イギリスの著述家。はじめ医者であったが、さまざまな職業を経験し、1858年に発表した『自助論』(三笠書房)の大成功後、文筆業に専念する。

翻訳・解説:竹内 均(タケウチ ヒトシ)
 福井県生まれ。東京大学名誉教授。理学博士。地球物理学の世界的権威。科学雑誌『Newton』の初代編集長として、青少年の科学啓蒙に情熱を傾けるかたわら、「人生の幸福」について深く探求し、著者一流の自己実現の具体的な方法を説く。

解説 世界的名著『自助論』と並ぶ、自己修養の最高傑作(竹内 均)
Chapter.1 自分を大きく育てる ―何が自分の精神・知性を成長させるか
Chapter.2 個性を磨く ―いつも自分に誇りが持てる生き方
Chapter.3 自分を生かす働き方 ―日々、精一杯働いているか、やりがいはあるか
Chapter.4 見識を高める ―「人生の教え」をいつ、どこから学びとるか
Chapter.5 よい人間関係をつくる ―つき合う相手を糧に自分を成長させているか
Chapter.6 人を動かす ―自分の信念に命をかけられるか

要約ダイジェスト

人生は自分が選んだとおりに「姿」を変えてくれる

 われわれには意志と行動の自由があり、物事の明るい面を見るか、暗い面を見るかを自分で選ぶことができる。世界を本当に自分のものにするのは、明るく、朗らかな人たちだ。年中イライラと不安にさいなまれ、満足することを知らない性格の人は、不安や苦労に押し流されやすいために、幸せや心の平和を手にすることはおぼつかない。

 この世には、非常に楽天的で、何を見てもよい面しか目に入らぬ人がいるものだ。彼らのことを軽率な人間だなどと思ってはならない。包容力の大きい優れた人物は、

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