『レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?』
(新井信昭/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 一般的に「特許=アイデアや技術を守ってくれるもの」と思われているが、実は特許出願することで、アイデアを危険にさらすこともある。そのため、時には戦略的に「隠しておく」こともアイデアを守る術となる。本書は、そんな意外な事実と、発明や技術などの知的財産や特許への間違った認識を正し、それらを有効活用するための経営書である。

 著者は弁理士として、これまでに 3,000件以上の知財コンサルティング、1,000件以上の特許出願サポートなどを行い、日本のビジネスパーソンの「知財コミュニケーション力」アップに尽力する人物。日本で特許取得したものの、諸外国に類似品をつくられてしまった例や、特許訴訟を起こしたものの相手が「パクった」ことを実証できずに敗訴し、多額の賠償金を支払わされた例など、安易な特許出願に警鐘を鳴らす。

 タイトルにある「伊右衛門」と「コカ・コーラ」も、特許に関して正反対の戦略をとっているという。最近話題となった 2020年東京オリンピックのエンブレム問題など、特許や知財を身近に理解できる話題から、特許を活かした「オープン・クローズ戦略」までわかりやすく解説され、特許や知財を縁遠く感じているビジネスパーソンや経営者こそ、ご一読いただきたい内容だ。

著者:新井 信昭(アライ ノブアキ)
 1954年生まれ。高卒後、サラリーマン生活を送る中、幼なじみから見せられた大学の卒業証書を見てー念発起。新聞配達やタクシー運転手などでお金を貯め、25歳の時に1年間かけて世界一周の旅へ出る。帰国後、身に付けた英語を生かして秋葉原の免税店で働き始めるが、そこで知り合った司法試験受験生に影響を受け、法律の面白さに目覚める。29歳で行政書士、30歳で弁理士予備試験に合格。
 精密機械メーカー勤務の傍ら、39歳で弁理士本試験に合格。芝浦工業大学夜間部の学生と特許事務所所長の二足の草鞋を履く。同大学2部電気工学科卒。さらなる知見を得るために52歳で東京農工大学大学院入学。博士(工学)。現在は同大学院・ものつくり大学非常勤講師(知財戦略論)、(株)グリーンアイピー代表取締役。知財コミュニケーション研究所代表。
はじめに「知財」は本当に、あなたに関係ないものですか?
第1章 特許出願は「アイデアを盗んでください」と、全世界に宣言すること
第2章 アイデアは「見せない、出さない、話さない」
第3章 知財の法廷に、大岡越前はいない
第4章 アイデアの「現場」に魔の手が迫る
第5章 『知財コミュニケーション力」という武器
第6章 アイデアの「絶対領域」で勝利をつかめ!
あとがき

要約ダイジェスト

「特許」についての大いなる誤解

 シャープが鴻海精密工業に買収され、東芝もまた存続の危機に立たされるなど、このところ名門企業の衰退を象徴するようなニュースを頻繁に耳にする。その要因のひとつに「アイデアの海外への流出」があるが、研究者の引き抜きや産業スパイの暗躍だけではなく、「特許」が原因の流出も看過できないほどに多い。

 実は特許はアイデアを守ってはくれない。それどころか、

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