『富国と強兵 地政経済学序説』
(中野剛志/著)

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 21世紀に入り、リーマン・ショックやユーロ危機、ロシアのクリミア侵攻、中国の野心的行動、イギリスのEU離脱、トランプ大統領の就任など、世界の政治経済分野で予測不可能な事態が多発している。これは、冷戦終結以来アメリカが中心となって推進してきた自由主義的グローバリズムのほころびと捉えることもでき、こうした事象を俯瞰的に理解するための新たな社会科学が、本書で提唱される「地政経済学」だ。

「地政経済学」とは、「富国」と「強兵」、すなわち経済学と政治・軍事(いわゆる地政学)との不可分な関係を解明するものだ。著者は経産省官僚にして論客としても知られる中野剛志氏。著者は地政学なくして経済は理解できず、経済なくして地政学も理解できないと説く。そして、戦後日本が追求した「強兵なき富国」が、冷戦という特殊な地政学的環境のうえに成り立っていたにすぎないことを明らかにする。

 その上で本書では、いたずらに軍拡をあおるのではなく、世界と日本の政治経済と安全保障の未来への道筋を示している。600ページにも及ぶ大著だが、主流派経済学から最新の地政学理論までを精査し、「地政経済学」として再構築された理論体系は圧巻ですらある。ビジネスパーソンにも無関係ではない、現代の政治経済を読み解く骨太な一冊として、ぜひご一読いただきたい。

著者:中野 剛志(ナカノ タケシ)
 1971年、神奈川県生まれ。評論家。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、2005年に博士号を取得。2003年、論文‘Theorising Economic Nationalism’ (Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。
 主著に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)、『TPP亡国論』『世界を戦争に導くグローバリズム』(集英社新書)、『国力論』(以文社)、『国力とは何か』(講談社現代新書)、『保守とは何だろうか』(NHK出版新書)、『官僚の反逆』(幻冬舎新書)など。
緒言
序章 地政学と経済学
1章 貨幣と領土
2章 資本主義の不安定性
3章 通貨と財政
4章 領土の政治経済学
5章 戦争と国家
6章 資本と強制
7章 第一次産業革命の地政経済学
8章 第二次産業革命の地政経済学
9章 ハルフォード・マッキンダー(1)
10章 貿易の地政経済学
11章 ハルフォード・マッキンダー(2)
12章 戦争の経済的帰結(1)
13章 制度経済学
14章 戦争の経済的帰結(2)
15章 経済成長の地政経済学
16章 平和の経済的帰結
17章 東アジアの地政経済学
18章 領域国家と通商国家
終章 地政経済学とは何か

要約ダイジェスト

地政学と経済学

 アメリカ合衆国やヨーロッパ連合(EU)の多くの人々は、冷戦の終結を以て「地政学」はもはや過去の遺物となったものと信じていた。ところが 2014年時点の世界が直面している現実とは、ロシアによるクリミアの奪取であり、中国による東シナ海や南シナ海における領土・領海の強引な主張であり、

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