『最後の資本主義』
(ロバート・B・ライシュ/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 イギリスの EU離脱、トランプ政権の誕生など、世界的に反グローバリズムや既存政治への不満が噴出している。では、その本質的な原因は何か。本書では、オバマ元大統領のアドバイザーも務めた経済学者が、アメリカの貧富二極化の実相と、資本主義の基礎である「自由市場」のメカニズムがいかに歪められてしまっているかを明らかにする。

 米国では、大企業や金融業界、富裕層らのロビイングなどにより、彼らに都合のよいように自由市場の「ルール」が変えられてしまっているという。言い換えれば、多数の中間層は初めから勝てないゲームに参加させられているのだ。著者はそのことを、自由市場を構成するルール(所有権、独占、契約、倒産、執行)のそれぞれで明白にしていく。

 その結果、現在の資本主義経済は崩壊する危険性があると著者は警告する。対抗策は、中間層が拮抗勢力として再び、資本主義を守るため連携し、ルールを正しく変更することだ。本書ではそのための具体的な提案と、未来への希望を示す。

 著者のロバート・ライシュ氏は、ハーバード大学教授やクリントン政権での労働長官などを経て、現在はカリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授を務める人物。日本でもワーキング・プアなどの貧富二極化が注目され、本書のテーマは対岸の火事ではない。トランプ大統領誕生の背景と、日本の将来を考えるためにも必読の一冊。

著者:ロバート・B・ライシュ(Robert B.Reich)
 カリフォルニア大学バークレー校教授。1946年、ペンシルバニア州に生まれる。ハーバード大学教授などを経て、現在、カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授。クリントン政権での労働長官をはじめ三つの政権に仕えたほか、オバマ大統領のアドバイザーも務めた。
 著書は『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』、『暴走する資本主義』など多数。雑誌『ニューヨーカー』、『アトランティック』や、『ニューヨーク・タイムズ』、『ワシントン・ポスト』、『ウォールストリート・ジャーナル』各紙への寄稿多数。雑誌『アメリカン・プロスペクト』の共同創立編集人。2008年、『タイム』誌の「最も業績を収めた20世紀の閣僚10人」の1人に選ばれたほか、『ウォールストリート・ジャーナル』紙で「最も影響力のある経営思想家20人」にも選出された。2013年、ライシュ自身をモチーフにして制作された映画『みんなのための資本論』(ジェイコブ・コーンブルース監督)が、サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門にて審査員特別賞を受賞。2014年、アメリカ芸術科学アカデミーのフェローに選ばれる。

翻訳:雨宮 寛(アメミヤ ヒロシ)
 コーポレートシチズンシップ代表取締役。コロンビア大学ビジネススクール経営学修士およびハーバード大学ケネディ行政大学院行政学修士。モルガン・スタンレーおよびクレディスイスにおいて資産運用商品の商品開発を担当。2006年コーポレートシチズンシップを創業。明治大学公共政策大学院兼任講師、法政大学現代福祉学部兼任講師。DWMアセットマネジメント日本代表。CFA協会認定証券アナリスト。NPO法人ハンズオン東京副代表理事。日本Bコーポレーション推進支援委員会。今井章子氏との共訳書に『あなたのTシャツはどこから来たのか?』ピエトラ・リボリ著、『金融恐慌1907』ロバート・F・ブルナー/ショーン・D・カー著、『暴走する資本主義』『余震』『格差と民主主義』ロバート・B・ライシュ著(以上、東洋経済新報社)など多数。

翻訳:今井 章子(イマイ アキコ)
 昭和女子大学教授 コーポレートシチズンシップ取締役。ハーバード大学ケネディ行政大学院行政学修士。英文出版社にて外交評論誌の編集に携わる。ジョンズホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所客員研究員、東京大学法学政治学研究科客員研究員等を経た後、政策シンクタンクにて提言などの国内外への広報、海外専門家との政策対話、CSR研究などに従事。現在、昭和女子大学グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科教授として、グローバル化による社会課題やリーダーシップの在り方、CSR(企業の社会的責任)などについて研究している。雨宮寛氏との共訳書に、『あなたのTシャツはどこから来たのか?』ピエトラ・リボリ著、『金融恐慌1907』ロバート・F・ブルナー/ショーン・D・カー著、『暴走する資本主義』『余震』『格差と民主主義』ロバート・B・ライシュ著(以上、東洋経済新報社)など多数。

第1部 自由市場
1章 支配的な見方
2章 資本主義の五つの構成要素
3章 自由と権力
4章 新しい時代の所有権
5章 新しい時代の独占の形
6章 新しい時代の契約の形
7章 新しい時代の倒産の形
8章 執行のメカニズム
9章 まとめ-市場メカニズム全般

第2部 労働と価値
10章 能力主義という神話
11章 CEO報酬の隠れた仕組み
12章 ウォール街の高額報酬のカラクリ
13章 弱まる中間層の交渉力
14章 ワーキング・プアの台頭
15章 働かないお金持ちの台頭

第3部 拮抗勢力
16章 ここまでのまとめ
17章 資本主義に対する脅威
18章 拮抗力の衰退
19章 拮抗力を取り戻せ
20章 下位層から上位層への「事前配分」に終止符を打つ
21章 企業を改革する
22章 ロボットが取って代わるとき
23章 市民の遺産
24章 新しいルール
訳者あとがき

要約ダイジェスト

支配的な見方

 この世のどこかに「自由市場」という概念が存在しており、そこに政府が「介入する」という考え方ほど人々の判断力を鈍らせるものはない。この考えによると、市場が作り出すいかなる不平等も不安定も、「市場原理」によって起こる避けがたい出来事ということになる。

 つまり、あなたの給料は、あなたの市場価値を示しており、

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