『デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論』
(デービッド・アトキンソン/著)

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  • 目次
 日本のGDP(国内総生産)は近年中国に抜かれ、世界第 3位となった。それは、今も日本が経済大国であることを示しているが、今後長期的に人口減・高齢化が進み衰退する日本経済を暗示しているとも捉えられる。しかし、元著名アナリストで、現在は日本の伝統工芸会社の代表も務める著者は、日本経済には実はまだ「伸びしろ」があるという。

 その伸びしろとは、「生産性」だ。GDPは「人口×生産性」で算出できるが、実は日本の「1人あたり生産性」は世界第 27位であり、先進国最下位レベルなのだ。このことは、戦後の日本経済の成長が、実際には、日本が「人口ボーナス」期を迎え、先進国中で 2番目に多い人口のおかげであったことも示唆している。

 もちろん技術力や勤勉性なども要因であろうが、データを徹底的に分析すると、それらは主要因ではないのだ。本書では、日本の生産性が低い理由を、日本の慣習やデータから指摘し、反論にも丁寧に答え、生産性向上の具体的方策までを語る。一読すれば、「人口増加を前提とした過去の成功体験」に縛られている日本の現実が理解できるはずだ。

 著者デービッド・アトキンソン氏は『新・観光立国論』同様、切れ味鋭い分析と、26年に及ぶ日本生活から感じた日本人の潜在能力や実績を称えつつも、「日本はこの程度の国ではない」という強い危機感で訴えかける。視野を国内から世界へ、思い込みからファクトへと広げ、これからの経営を考えるためにも、経営層の方々には必読の一冊だ。

著者:デービッド・アトキンソン(David Atkinson)
 小西美術工藝社代表取締役社長。三田証券社外取締役。元ゴールドマン・サックス金融調査室長。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。
 2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。1999年に裏千家に入門、2006年に茶名「宗真」を拝受する。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年に同会長兼社長に就任。日本の伝統文化を守りつつ、旧習の縮図である伝統文化財をめぐる行政や業界への提言を続ける。2015年から対外経済政策研究会委員、京都国際観光大使、2016年から明日の日本を支える観光ビジョン構想会議委員等を務める。『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『国宝消滅』(共に東洋経済新報社)、『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』(講談社+α新書)等著書多数。
第1章 日本はほとんど「潜在能力」を発揮できていない
第2章 「追いつき追い越せ幻想」にとらわれてしまった日本経済
第3章 「失われた20年」の恐ろしさ
第4章 戦後の成長要因は「生産性」か「人口」か
第5章 日本人の生産性が低いのはなぜか
第6章 日本人は「自信」をなくしたのか
第7章 日本型資本主義は人口激増時代の「副産物」に過ぎない
第8章 日本型資本主義の大転換期
第9章 日本の「潜在能力」をフルに活用するには

要約ダイジェスト

日本経済の実績を「人口」と「生産性」に分けて考える

 テレビや新聞では毎日のように「日本文化はすごい」「日本の技術は世界一」「世界が憧れる日本」などの情報があふれている。たしかに日本は GDPランキングで世界第 3位の経済大国だ。製造業生産額でも第 3位、輸出額ランキングで第 4位、2000年以降のノーベル賞受賞数で第 3位など、さまざまな世界ランキングで、上位に位置している。

 これだけを見れば、資源も少ない小さな島国でありながら、日本はその高い潜在能力を発揮しているととらえられてもおかしくはない。だが、経済などにおける世界ランキングが高いからといって、

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