『移民の経済学』
(ベンジャミン・パウエルほか/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 トランプ米大統領の就任や英国の EU離脱といったニュースが続き、いま、時代が大きくシフトしようとしている。それは、これまで推進されてきた自由市場化、グローバル化への懸念を示しているようにも思える。特に、本書で扱う「移民」については、アメリカのみならず、ヨーロッパ諸国でも激しい議論の的だ。

 ただし、移民に関する議論には、感情論的なものも多い。それらを排し、移民の経済的・社会的影響を客観的データに基づき分析したのが本書だ。各分野の専門家の共著により、受入国の雇用に与える影響や文化的摩擦など、さまざまな懸念について冷静な見解を示している。編者は経済学者でテキサス工科大学教授のベンジャミン・パウエル氏。

 厳しすぎる各国の移民制度や、不法移民など、移民政策には乗り越えるべき問題は多い。たとえば、アメリカでは外国出身の居住者 4,000万人の約 3分の 1が不法移民だという。だが、移民規制の撤廃により、世界の GDPが大幅に上昇するという推計もあり、移民への期待も高い。

 また日本では、移民政策が話題に上ることはあまりないが、人口減少・少子高齢化の観点から、今後移民に関する議論は避けられないだろう。そのときに移民の実情を正確に把握しておくことは重要な課題だ。海外人材を雇用する企業や海外展開する企業人にはもちろん、世界の今を知る意味でも多くのビジネスパーソンにご一読いただきたい。

編者:ベンジャミン・パウエル(Benjamin Powell)
 テキサス工科大学教授(経済学)・自由市場研究所所長。学術誌Review of Austrian Economicsエディターなど歴任。Ph.D.(経済学、ジョージ・メイソン大学) 学術論文等に加え、一般向けに移民問題について執筆。

著者:ベンジャミン・パウエル、ニコラス・カチャノスキー、ブライアン・キャプラン、ザッカリ・ゴチェノアー、ピーター・T・リーソン、ハーバート・ロンドン、ヴィパル・ネイク、アレックス・ナウラステ、アレクサンドル・パディア、リチャード・K・ヴェダー、ジェイコブ・ヴィグドー
監訳:藪下 史郎(やぶした・しろう)
 早稲田大学政治経済学術院名誉教授。1966年東京大学経済学部卒業、1972年イェール大学Ph.D.取得後、東京都立大学(現・首都大学東京)、横浜国立大学を経て、1991年より早稲田大学政治経済学部教授、2014年3月退職。

翻訳:佐藤綾野(さとう・あやの)
 高崎経済大学経済学部准教授。1992年日本女子大学家政学部卒業、1999年早稲田大学政治経済学部卒業、2005年早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学、博士(経済学)。新潟産業大学経済学部専任講師、高崎経済大学経済学部専任講師を経て、2009年より現職。

翻訳:鈴木久美(すずき・くみ)
 山形県立米沢女子短期大学社会情報学科准教授。1993年早稲田大学政治経済学部卒業、2006年早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学後、早稲田大学政治経済学術院助手、米沢女子短期大学社会情報学科専任講師を経て、2010年より現職。

翻訳:中田勇人(なかた・はやと)
 明星大学経済学部准教授。1998年早稲田大学教育学部卒業、2003年一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学後、明星大学経済学部専任講師を経て、2009年より現職。

解説——移民政策への警告の書
第1章 イントロダクション
第2章 国際労働移動の経済効果
第3章 移民の財政への影響
第4章 アメリカ移民の市民的・文化的同化政策
第5章 雇用ビザ:国際比較
第6章 穏当な移民改革案
第7章 移民の将来:自由化と同化への道
第8章 国境の開放化に関する急進的な見解
第章 結論:代わりとなる政策的視点

要約ダイジェスト

移民がもたらす世界の GDPの上昇

 移民政策は現在アメリカで最も論争の的になり、また感情的な批判を受けている公共政策の一つだ。だが、ある経済学者の推定では、裕福な国々への移民制限が完全に撤廃されると、世界経済にはざっと 50~150兆ドルの利益がもたらされる。

 富を増やすためには最も生産的な分野、すなわち最も低い費用で、

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