- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、CXを「人+プロセス+テクノロジー」と定義し、「攻め」の CX実現のための一貫した方法論を解説。顧客の心理を理解し、CXを強化するための「4つのフレームワーク」、財務インパクトの算出手法、測定指標、失敗事例まで詳述し、一読すれば、今後 CXへの理解が、マーケティングや営業部門、コンタクトセンターだけでなく、全従業員に必要なものであることがわかるはずだ。
本書の内容は、企業規模や B2B/B2Cを問わず、さらに今後、メーカー、小売、通販、サービス業などはもちろん、可処分時間を奪い合うあらゆる業種で、競争力のある製品・サービスをつくるための根底となる概念となるだろう。それゆえ、新規事業を立ち上げようとする方にとっても大きな示唆を与えてくれるはずだ。
著者のジョン・グッドマン氏は、顧客体験とロイヤリティの関係を調査して「顧客は不満を感じても、ほとんどの場合は申し立てをしない」という「グッドマンの法則」を発見したことでも知られ、この分野で40年以上にわたり活躍する伝説的な人物。本書は著者の最新版かつ集大成的な実践の書である。
カーネギーメロン大学ケミカルエンジニアリング学部卒業。1972年ハーバード・ビジネス・スクール卒業後にマーケティング調査・コンサルティングのTARP社を設立し、ホワイトハウスより「米国企業の苦情処理の実態調査」を受託。その調査報告書が、米国の大手企業を中心にフリーダイアルの導入と合わせて苦情対応の顧客相談窓口の設置を促したことで知られる(日本では、その調査結果が「グッドマンの法則」として紹介される)。
以降、消費者行動分析をベースに40年間、800社以上のコンサルティングと1000を超える調査プロジェクトに従事。フォーチュン100社中45社が同社の手法を導入している。現在、CCMC(Customer Care Measurement and Consulting)のバイス・チェアマン。著書にStrategic Customer Service(邦題『グッドマンの法則に見る苦情をCSに変える「戦略的カスタマーサービス」』)のほか、250本超の論文・レポートを発表している。
畑中伸介(ハタナカ ノブスケ)
1957年大阪府生まれ。79年関西外国語大学卒業、81年創業時のベルシステム24に入社。翌年に渡米し、チェスコムの米国法人立上げに従事。日本企業を中心に業務代行サービスを展開した。85年アイディアリンク・ジャパンを設立。日米間の企業の新規事業コンサルティングを行う。滞米16年を経て、98年株式会社プロシードのCOPC事業部を設立。コンタクトセンターのパフォーマンス規格を普及させ、200社を超える日本企業の顧客サービス品質審査、コンサルティングに従事。
2011年株式会社ラーニングイットを設立。顧客サービスを中心にワークショップやコンサルティングを行う。現在、同社代表取締役社長。共著書に『コールセンターマネジメント』(生産性出版)、『コールセンターの改善手法――COPC入門』(日本能率協会マネジメントセンター)、訳書に『グッドマンの法則に見る苦情をCSに変える「戦略的カスタマーサービス」』(リックテレコム)などがある。
はじめに
序章 カスタマーエクスペリエンス 3.0宣言
第1部 CXから見る顧客像
第1章 なぜ良いサービスが素晴らしい体験につながらないのか
第2章 CX=人+プロセス+テクノロジー
第3章 何もしない場合のコストを算出してアクションを起こす
第2部 起点から完了までのCXをデザインする
第4章 物事は最初に正しく実行する(DIRFT)
第5章 マルチチャネルからのアクセスを実現する
第6章 常に顧客を満足させ、時には驚かせる
第7章 統合されたVOCを傾聴する
第3部 CX導入のためにすべきこと
第8章 テクノロジーを使いこなす
第9章 CXの組織文化を作るマネジメント
第10章 事例で読み解くCXのストーリー
訳者解説
要約ダイジェスト
なぜ良いサービスが素晴らしい体験につながらないのか
購買や消費行動のあらゆるデータが分析可能となり、マーケティングに活かせる時代になったが、その反面、不満を感じても声に出さない、という顧客の本能的な行動は今も昔も変わっていない。顧客の本音を理解する、ということは想像以上に難しいままなのだ。
ここで問題にしたいのは、「顧客サービス」ではなく「CX(カスタマーエクスペリエンス)」だ。サービスはCXの一部でしかない。CXとは、