『組織サバイバルの教科書 韓非子』
(守屋 淳/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 日本には『論語』の価値観が強く根付いている。それは「信頼」や「絆」として表され、長年にわたり、家族的な組織や秩序立った社会の形成に寄与してきた。しかし、時代を経て、国際的競争が激化してくると、過酷な状況を乗り越えられる強い組織が求められる。そのような時代には、『論語』の「ムラ社会的」発想では対処できないことも多い。

 古代中国でも現代と同様、国同士が侵略し合うなか、『論語』的価値観の限界が指摘されていた。そんなときに、解決策を提示したのが『韓非子』だ。それゆえ『韓非子』に描かれるのは、本書のタイトル通り「組織が生き残る」のための非情で実践的な組織論だ。

 本書では、「成果を出す組織」をつくるうえで韓非が重視した「法(賞罰)」「権力」「術」の有用性を述べ、さらにそれらがはらむ問題点、日本的組織が目指すべき方向性についても洞察する。著者は『最高の戦略教科書 孫子』もベストセラーとなった守屋淳氏であり、『韓非子』のみならず、中国古典に関する幅広い知見も詰まっている。

 日本では『論語』ほど取り上げられることのない『韓非子』だが、実は経営者の隠れた愛読書としても著名だ。なぜなら、本人が望まなくとも、ライバルに権力闘争を仕掛けられてしまう場合があるからだ。その意味で本書は、組織マネジメントだけでなく、個人の組織サバイバルにも重要な示唆を与えてくれる、ビジネスパーソン必読の一冊である。

著者:守屋 淳(モリヤ アツシ)
 作家、中国古典研究家。1965年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大手書店勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『老子』『荘子』『三国志』などの知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした、執筆や企業での研修・講演を行う。著書に『最高の戦略教科書 孫子』『nbb 孫子・戦略・クラウゼヴィッツ』『現代語訳 論語と算盤』などがある。
第一章 人は成長できるし、堕落もする―「徳治」の光と影
第二章 『韓非子』は性悪説ではなかった?
第三章 筋肉質の組織を作るための「法」
第四章 二千年以上も歴史に先んじた「法」のノウハウ
第五章 「権力」は虎の爪
第六章 暗闇のなかに隠れて家臣を操る「術」
第七章 改革者はいつの時代も割に合わない
第八章 人を信じても信じなくても行きづまる組織のまわし方
第九章 使える権力の身につけ方

要約ダイジェスト

『論語』と『韓非子』、水と油の組織観

「うまく機能する組織とは、どのようなものか」「組織で活躍できるのは、どのような人なのか」といった問題は、どの地域、どの時代でもクローズアップされてきた。この難問に対して、正反対の立場から解答を出そうとしたのが、『論語』と『韓非子』だ。

『論語』は、あるべき政治や政治家に関する問答を中心とし、

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