『失敗の研究―巨大組織が崩れるとき』
(金田 信一郎/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 理研、ベネッセ、ロッテ、代ゼミ、東洋ゴム、マクドナルド…近年「大企業」の不祥事や内紛、経営難といった「失敗」が多発している。こうした「失敗」の根底にあるものは何か。著者は、それが単なる戦略上の誤りや顧客ニーズの読み違いではなく、「巨体」であるがゆえの病、すなわち、マクロで見れば20世紀から続く「大企業時代」の終焉ではないかと指摘する。

 著者は、記者として長年経済事件を取材し、『日経ビジネス』元副編集長を経て現在は日本経済新聞編集委員を務める人物。本書では、20社以上の企業の失敗事例をもとに、現場・関係者への徹底取材、膨大な資料・データの分析によって、事件の深層に巨大組織が陥る 6つの病(肥満化、迷宮化、官僚化、ムラ化、独善化、恐竜化)を見出し、さらには 21世紀に必要とされる企業の原型を描き出す。

 一読すれば、自社の組織状況に当てはめ、背筋が寒くなる読者も多いのではないだろうか。程度の差こそあれ、本書で描かれる「病」は、組織が規模の拡大を目指すとき、すでに内包されているとも言うべきものであり、どの企業にとっても他人事ではない。経営や組織に責任を持つ立場にあるビジネスパーソン必読の一冊である。

著者:金田 信一郎 (カネダ シンイチロウ)
 日本経済新聞編集委員。1967年東京都生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年日経BP社入社、『日経ビジネス』記者、ニューヨーク特派員、『日経ビジネス』副編集長を経て2014年より現職
「大企業時代」の終焉
第1部 軋む巨体8つの失敗を解く
・理研―「科学技術」という名のゼネコン
・マクドナルド―3万店のハンバーガー工場
・代ゼミ―生徒ゼロの大教室
・ベネッセ巨大名簿会社の虚実
・東洋ゴム―肥大化した「ムラ社会」
・ロッテ―国家またぐ循環出資
・三井不動産―マンションの膨張と傾斜
・化血研―エイズと背徳の20年
第2部 失敗の系譜 巨体を蝕む6つの病
・膨張期
・巨大維持期
大企業の未来

要約ダイジェスト

「大企業時代」の終焉

 ここ数年、有名な大企業で事件が頻発しているのは決して偶然ではない。次々と起きる事件を立て続けに追っているうちに、1つの焦点が見え始めているのだ。それは、結論から言うと、「大企業時代」が終わったのではないかということだ。

 20世紀は、欧米や日本で生まれた企業群が、巨大な組織体へと成長していった時代だった。米国は、

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