『人工知能が金融を支配する日』
(櫻井豊/著)

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 チェスや将棋よりはるかに複雑な囲碁で人工知能が勝つのはまだ先だと言われていたため、2016年、人工知能「アルファ碁(Alpha Go)」が囲碁の世界トップ棋士といわれるプロに勝った事件は世界に衝撃を与えた。この立役者となったのが、機械学習、深層学習といった近年の人工知能技術の急速な発展である。

 実は、その影響を一番受けるのが金融業界だ。数字で構成される金融の世界は人工知能や自動取引と相性がよく、2010年、一瞬でリーマンショックを上回る株価下落を招いたフラッシュ・クラッシュ(瞬間暴落)の背景にこうした自動取引があったことは記憶に新しいが、実際に金融市場は既にロボ・トレーダーの独壇場になりつつあるという。

 なお、日本はこの分野では世界に大きく後れている。また、ヘッジファンドは人工知能のトップ研究者を IBMやアップル、Googleから次々引き抜いており、先進国の銀行支店は今後 10年で 30~80%削減されるとの予想もある。本書ではこうした金融業界の最先端を明らかにし、人工知能の発展により変わる金融業界の未来を見通している。

 著者は、旧東京銀行でトレーディングや資産運用に携わり、現在は金融シンクタンクの取締役として活躍する人物。一読すれば、いずれあらゆる業界に波及する人工知能の破壊的影響力、人間が発揮すべき付加価値、近年話題のフィンテックの本質についてなど、多くの示唆がある一冊として金融業界関係者以外にもぜひご一読いただきたい。

著者:櫻井 豊(サクライ ユタカ)
 リサーチアンドプライシングテクノロジー株式会社 取締役。金融市場と金融商品、及び金融技術の専門家。1986年に早稲田大学理工学部数学科を卒業し東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。2000年にソニーのネット銀行設立メンバーに加わり、ソニー銀行執行役員市場運用部長などを経て2010年よりリサーチアンドプライシングテクノロジー株式会社(RPテック)取締役。入行以来ほぼ一貫して金融市場におけるさまざまな金融商品を用いたトレーディング、資産運用などの業務に従事し、金融市場の実態、理論とそこで使われる技術を熟知する。主な著書に『数理ファイナンスの歴史』(金融財政事情研究会)がある。
CHPTER 00 金融とテクノロジーの表舞台と裏舞台
CHPTER 01 金融市場はロボ・トレーダーだらけ
CHPTER 02 今、ヘッジファンドは何を考えているのか?
CHPTER 03 資産運用では人はロボットに勝てない
CHPTER 04 世界を変える人工知能の進化
CHPTER 05 ロボットに奪われる金融の仕事
CHPTER 06 金融ロボット後進国、日本の危機
Conclusion 表舞台と裏舞台の両方から変わる金融界

要約ダイジェスト

金融とテクノロジーの表舞台と裏舞台

 人工知能の技術は、ここ数年で飛躍的な進歩を遂げ、ほんの10年ほど前に考えられていたものとまったく違う方向で進化を始めている。10年前の人工知能は、あくまでも人間が知識や経験などをプログラミング化したものだったが、近年急速に発展しているのは機械が自分自身で学習する(機械学習)というものだ。

 もちろん、現時点では人間のプログラマーの役割はまだまだ大きいが、人間への依存度は急速に低下し始めている。このような技術進歩を象徴するのが、

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