『なぜ人と組織は変われないのか 』
(ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 本書は「なぜ個人は、そして組織は変われないのか?」そして「どうすれば変わることができるのか?」というテーマに正面から挑んでいる。400ページを超える大著だが、小手先のテクニックとは無縁の骨太な内容である。

 人や組織が変われない原因として、本書で明らかにされる重要なコンセプトは、「変革をはばむ免疫システム」という心理的な抵抗機能だ。これは、人間に備わった変化から本人を守ろうとする働きであり、このシステムに正しく対処しなければ、人も個人も望む方向に変化することができないのである。

 変化を促す実践プロセスは世界中であらゆる職種・地位の人たちを対象に研究が重ねられてきたものであり、その背景には発達心理学の「人間は大人になっても知性のレベルを高めることができる」という研究成果がある。

 また、多数のワークやエクササイズも、個人で十分に実践できるレベルで解説されている。読みながら内省や自己分析を進めることもできるだろう。組織や個人の「変革」に課題感をお持ちの方はぜひご一読頂きたい。 

著者:ロバート・キーガン(Robert Kegan)
 ハーバード大学教育学大学院教授(成人学習・職業発達論)。30年あまりの研究・執筆活動を通じて、人が成人以降も心理面で成長し続けることは可能であり、現代社会のニーズにこたえるためにもそれが不可欠であるという認識を広めてきた。名誉学位や受賞多数。

著者:リサ・ラスコウ・レイヒー(Lisa Laskow Lahey)
 ハーバード大学教育学大学院「変革リーダーシップ・グループ」研究責任者。専門は発達心理学。教育者としての経験も長く、大人の意味体系の評価法として世界中で用いられている発達診断法を開発した研究チームのリーダーも務めた。チームが個人の成長を後押しし、同時に個人がチームに貢献できるようにする方法論をテーマに、執筆と実務をおこなっている。

翻訳:池村千秋(Chiaki Ikemura)
 翻訳者。訳書に、『倫理の死角』(NTT 出版)、『ディープ・チェンジ』(海と月社)、『ワーク・シフト』(プレジデント社)、『マネジャーの実像』(日経BP 社)などがある。

個人や組織は本当に変われるのか?
第1部 “変われない”本当の理由
人の知性に関する新事実
問題をあぶり出す免疫マップ
組織の「不安」に向き合う

第2部 変革に成功した人たち
さまざまな組織が抱える悩み―集団レベルの変革物語
なぜ部下に任せられないのか?―個人レベルの変革物語1
自分をおさえることができるか?個人レベルの変革物語2
うまくコミュニケーションが取れないチーム―集団を変革するために、個人レベルで自己変革に取り組む物語

第3部 変革を実践するプロセス
変わるために必要な3つの要素
診断―「変われない原因」を突き止める
克服―新しい知性を手に入れる
組織を変える
成長を促すリーダーシップ

要約ダイジェスト

“変われない”本当の理由

 リーダーの立場にある人なら誰でも、変革と改善がいかに大切か身にしみて感じているだろう。自分自身やほかの人を変えることの難しさも痛感しているに違いない。ところが、どうして難しいのか、どうすれば実現できるか、という点はほとんどの人がよくわかっていない。

 最近の研究によれば、食生活を改めたり、喫煙をやめなければ心臓病で死にますよと専門医から警告されたとき、実際に自分を変えることができる人は、7人に1人にすぎない。

 彼らは自己変革の重要性を理解していないわけではないし、どこをどう変えればいいかは、医師から明確に指示されている。それなのに、

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