- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書は、現在はベンチャーキャピタルや起業家支援財団などを主宰するケース氏が、満を持して自身の成功と失敗、そしてインターネットビジネスの未来を語りつくした一冊だ。マイクロソフトのビル・ゲイツとの直接対決や世紀の合併劇での内紛など、自伝的経営書としてはもちろん、未来への指南書として興味深い内容となっている。
「サードウェーブ」とは、未来学者 アルビン・トフラーが提唱した「第三の波」(情報化社会の到来)になぞらえ、インターネットの発展を 3段階に分け、あらゆる産業や製品がネットに接続される今後の段階を「第三の波」と表現したものだ。その波をどう乗りこなすか、著者は起業家、大企業、政府といった視点から様々な示唆を与えてくれる。
例えば、「第三の波」による産業変革においては、政府の規制を乗り越えるため、パートナーシップといった「第二の波」の企業(Google、Facebook、Uberなど)とは異なる戦略が必要になるという。それは、「第二の波」で後塵を拝してきた日本企業にとっても大きなチャンスだ。起業を志す方のみならず、大企業に在籍する方にとっても必読の一冊。
アメリカ・オンライン(AOL)の元 CEOで共同創設者。インターネット・プロバイダのパイオニア的存在である AOLは 1990年代に急成長を遂げ、2000年 1月にメディア大手のタイム・ワーナーと合併。「AOLタイム・ワーナー」の時価総額は当時 3,500億ドルを超え 米国史上最大の合併と言われた。ITバブル崩壊を引き金とした経営不振を機に、2003年同社の会長職を辞任(2009年合併解消)。現在は投資会社レボリューションの会長兼 CEOを務める傍ら、妻ジーンと創設したケース財団の会長として若き起業家を支援する活動に尽力している。“グローバル・アントレプレナーシップのための大統領特使(PAGE)”メンバー。
翻訳:加藤万里子(カトウ マリコ)
翻訳家。おもな訳書にナイム『権力の終焉』(日経BP社)、ウルリッチ他『グローバル時代の人事コンピテンシー 世界の人事状況と「アウトサイド・イン」の人材戦略』(日本経済新聞出版社)、アムスタッツ『エヴァンジェリカルズ アメリカ外交を動かすキリスト教福音主義』(太田出版)など。
はじめに
第 1章 曲がりくねった道
第 2章 AOL[アメリカ・オンライン]の誕生
第 3章 第三の波
第 4章 スタートアップ、スピードアップ
第 5章 三つのP
第 6章 破壊を許す
第 7章 シリコンバレーから「その他のあらゆる地域」へ
第 8章 新たな潮流―インパクト投資
第 9章 栄光と挫折
第10章 見える手
第11章 破壊されるアメリカ
第12章 波に乗れ
謝辞
訳者あとがき
原注
要約ダイジェスト
インターネットの 3つの波
未来学者アルビン・トフラーの『第三の波』によれば、人類の「第一の波」は、農業革命後に数千年にわたって展開された定住農耕社会で、「第二の波」は産業革命後の社会だ。そして、「第三の波」とは、情報社会を指している。
AOLが誕生して 30年あまりで、トフラーが予言した第三の波は本当にやってきた。インターネット時代は幕開けから驚異的なスピードで進み、