『深く、速く、考える。』
(稲垣公夫/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 グローバルな人材競争と人工知能などの進化により、今後どの分野でも、ビジネスパーソンには「深い思考」、すなわち表面的な事象ではなく、本質を素早く見極める力が求められる。なぜなら、どんな専門的な仕事でも、定型的な「浅い思考」は機械で代替可能だからだ。本書はそのための「深速思考」(=深く速く考える思考)を解説した一冊だ。

「深速思考」は、もともとはトヨタ経営に精通した著者が、エンジニア向けの研修で教えていたものだ。あるトヨタ社員はこの研修を見て、この研修で身に付く力をトヨタでは「ズームイン・ズームアウト思考」と呼ぶが、それはトヨタ社員でも、身に付けるまでに 5年はかかるハイレベルなものだという感想を述べたという。

 ここでいう「ズームイン」とは具体的に、「ズームアウト」とは抽象的に考えることで、この具体と抽象を自由に行き来できる思考こそが、トヨタ社員の競争力の源泉なのだ。ただし、人の脳は抽象化が苦手なため、深速思考では事象を段階的に抽象化する「因果関係マップ」などを用い、こうした能力を徹底的に鍛えていく。

 また身近な事例でトレーニングできるのも、深速思考の特徴だ。本書でも「AKB 48」「鳥貴族」「スーパーホテル」などの儲かる仕組みから歴史まで、日常的な話題から思考の本質に迫る。「考えが浅いと言われる」「仕入れた知識が応用に結びつかない」などの悩みがある方は、ぜひご一読いただきたい。一生モノの思考力が身に付くはずである。

著者:稲垣 公夫(イナガキ キミオ)
 グローバリング株式会社 代表取締役社長。1951年生まれ。東京大学工学部卒業、ミシガン大学工学部大学院修士課程修了。NECにて製造管理部担当部長、NECアメリカ副社長などを歴任。ジェイビルジャパン代表取締役社長などを経て現職。エリヤフ・ゴールドラット博士の『ザ・ゴール』を契機に国内へ広がったTOC(制約条件の理論)の考え方にいち早く着目し、同書日本語版の解説も務める。
 また、米国でのトヨタ研究への造詣が深く、第一人者であるミシガン大学のジェフリー・ライカー教授らによる『ザ・トヨタウェイ』『トヨタ経営大全』シリーズや、トヨタの製品開発方式(リーン製品開発)を体系化したアレン・ウォード博士らの著作の翻訳・研究でも知られる。2010年にグローバリング株式会社を設立し、主に製造業を対象に、リーン製品開発や経営戦略コンサルティングを行う。『トヨタ式A3プロセスで製品開発』(日刊工業新聞社)、翻訳書『トヨタのカタ』(日経BP社)など多数。
序章 ヒトの脳には「思考のクセ」がある
第1章 結局、「深く考える」ってどういうこと?
第2章 「深速思考」の基本と精度の高め方
第3章 「因果関係マップ」のつくり方
第4章 ネタを仕入れる ――ビジネスモデルの「本質」の抽出
第5章 遠くからアイデアを借りる ――「本質」を別の場に応用
終章 深速思考を日常化する

要約ダイジェスト

脳には「思考のクセ」がある

 深速思考(=深く速く考える思考)を身に付けるにあたり、人間の脳の研究で最近わかった重要なことがある。それは、「ヒトの脳は、サバンナで生きていた時代から、生活や知識・技術の発展に合わせて進化するだけの時間的余裕がそれほどなかった」ということだ。

 この影響で、われわれの脳は、深く考えるよりも浅く考えることを好む。いつ猛獣に襲われるかわからない生活では、

続きを読むには会員登録が必要です。

© 2017 ZENBOOKS,Inc. All Rights Reserved.
要約記事は出版社または著作者から適法に許諾を取得し、作成・掲載しています。本記事の知的所有権は株式会社ゼンブックスに帰属し、本記事を無断で複製、配布、譲渡することは固く禁じます

特集