- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者の佐藤等氏は、2003年から中小企業経営者を中心にドラッカーから学ぶ読書会を主宰し、13年間で700回以上を開催。本書はその読書会から飛躍した経営者たちの実話から生まれた。ドラッカーは、利益、顧客といった 1つ 1つの「言葉」を重視し、一見シンプルながら答えるのが難しい「問い」を中心に受け手に深い思考を求める。
例えば、本書でもドラッカーの「自らの事業は何か」という問いを考え抜き、業績回復を成し遂げた事例がある。この問いに回答するには、自社が何のために存在するのか、顧客は何に価値を感じているのかといった存在意義レベルまで遡る必要がある。しかも足元の業績低下や社員との対立と戦いながら。本書はそんな生々しい葛藤の記録でもある。
また、ドラッカーがもう 1つ重視したのが「実践」であり、本書の登場人物はみな、実践の中からその真意をつかんでいく。すべての著書が実践のために存在すること、それが発刊後数十年を経てもドラッカーが経営者に支持されている理由なのだ。営利・非営利、規模の大小を問わず事業や組織をより良くしたいと願うリーダー必読の一冊である。
佐藤等公認会計士事務所所長・ドラッカー学会理事 1961年北海道函館市生まれ。84年小樽商科大学商学部卒業。90年公認会計士試験合格後に開業し、現在に至る。2002年小樽商科大学大学院商学研究科修士課程修了。
03年から、中小企業経営者などを集めたドラッカーの読書会を開始。13年間で700回以上開催し、16都道府県、23カ所で展開。ファシリテーターを養成する。10年から『実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)の刊行を開始。自身のセミナーに活用している。
物語2 「廃棄と集中」編
物語3 「予期せぬ成功」編
物語4 「外部にある経営資源」編
物語5 「潜在的な機会」編
物語6 「利益とは条件」編
物語7 「顧客の現実を知る」編
物語8 「何を測定するか」編
物語9 「汝の時間を知れ」編
物語10 「プロセスを管理せよ」編
物語11 個人で取り組む時間管理
物語12 「トップマネジメントチーム」編
物語13 「組織=人が自己実現を目指す場」編
物語14 「道具としての言葉」編
物語15 「強みを生かす」編
物語16 「貢献に焦点を合わせる」編
物語17 「自らの事業は何か」編
物語18 「何によって憶えられたいか」編
まとめ―言葉を道具箱にしまう
あとがき
要約ダイジェスト
「小さな会社のイノベーションの起こし方」―社員との対立を乗り越え、経営改革
十勝バス(北海道帯広市)は、90年近く路線バスを運営してきたが、マイカー普及や人口減で利用客数が減少し、2000年代には、ピーク時の2割以下に落ち込んだ。同社の野村文吾社長がドラッカーの著作に出合ったとき、最も心に響いた言葉が「イノベーション」だ。
野村社長は就任直後から「利用客を増やすために営業を強化しよう」と言い続けていたが、