『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』
(マイケル・ピュエットほか/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
「東洋哲学」ときいて「古臭い」と感じる方もいるかもしれない。だが、東洋哲学は近代合理主義的な発想を覆し、今後の社会を生き抜くためのカギとなる可能性を秘めている。実際に、今ハーバードの若きエリートたちが「東洋哲学」に注目しており、著者の一人、ピュエット教授の古代中国思想の講義は、絶大な人気を誇っているという。

 本書では講義を再現しながら、孔子や孟子、老子らの思想の本質を解説する。「自分探しをするな」「ポジティブ思考も有害になりうる」「強くなるためには弱くなれ」など、本書の主張は一見、矛盾したものに思えるかもしれないが、読み進めていけば、西洋哲学と異なる観点からより良い生き方を説く、東洋哲学の奥深さに驚かされるはずだ。

 彼らの教義はそれぞれ異なれど、世界が本質的に不安定であり、「自分」に執着すべきではないと説いた点で共通する。つまり「今の自分」は文字通り今のスナップショットに過ぎず、柔軟に変化し続けることこそが重要なのだ。先が見えない時代といわれて久しいが、人生やキャリアを考えるうえで驚くほど現代的な考え方ではないだろうか。

 さらに、彼らは変化し続けるための具体論まで説いた。例えば、孔子の説く「礼」はただの儀礼ではなく、パターン化しがちな日常に変化をもたらす実践的な手段だったのだ。数十年にわたり研究を続ける著者の説く東洋哲学の新解釈は、これから東洋思想を学びたい方からすでに古典に親しんでいる方まで、新たな示唆を与えてくれるはずだ。

著者:著者:マイケル・ピュエット
 ハーバード大学東アジア言語文明学科の中国史教授。2006年より受け持つ学部授業の「古代中国の倫理学と政治理論」は、「経済学入門」「コンピュータ科学入門」に次いで学内3位の履修者数。卓越した学部教育により、ハーバード・カレッジ・プロフェッサーシップを受賞。

著者:クリスティーン・グロス=ロー
 ジャーナリスト。ウォール・ストリート・ジャーナルやハフィントンポストなどに多数寄稿。ハーバード大学で東アジア史の博士号を取得している。

翻訳:熊谷淳子
 翻訳家。大阪教育大学卒、コロラド大学大学院で修士号取得

1.伝統から”解放された”時代
2.世界じゅうで哲学が生まれた時代
3.毎日少しずつ自分を変える─孔子と<礼><仁>
4.心を耕して決断力を高める─孟子と<命>
5.強くなるために弱くなる─老子と<道>
6.まわりを引きつける人になる─『内業』と<精><気><神>
7.「自分中心」から脱却する─荘子と<物化>
8.「あるがまま」がよいとはかぎらない─荀子と<ことわり>
9.世界じゅうの思想が息を吹き返す時代

要約ダイジェスト

私たちは本当に自由を手に入れたのか

 私たちの多くは自分が本質的に自由だと考え、祖先にはそのような自由はなかったと思っている。しかし、古代の中国の哲学者の教えは、私たちが当たり前のように信じてきた通念に疑いをいだかせる。

 例えば、ほとんどの人は、自分が何者かを知り、自分の人生がどうなるべきかを決めるのはいいことだと思っている。だから、

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